2022年11月4日掲載

Paul Chambers
Chambers’ Music – A Jazz Delegation from the East
Jazz West原盤
1956年3月録音

各曲解説「今日のコルトレーン」

 コルトレーンはマイルス・クインテットに加入してから、コロンビアで1955年10月26日の、プレスティッジで1955年11月16日に、スタジオ・セッションを行っていました。
 3回目のスタジオ・セッションは、ジャズ・ウェスト・レーベルでのポール・チャンバースのレコーディングで、1956年3月2日に行われました。マイルス・クインテットから他にフィリー・ジョー・ジョーンズが参加し、ピアノにはケニー・ドリューが加わっています。
 コルトレーンはポール・チャンバースのリーダー・レコーディングに3回加わっており、このジャズ・ウェストでのものは、その最初になります。

 この日には7曲が演奏され、6曲がこのアルバムに収録され、残り1曲は未発表のままです。またコルトレーンは「Visitations」の演奏には、加わっておりません。

 各曲については、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。

 コルトレーン抜きの「Visitations」はチャンバース作の曲で、ピッチカートでの表情豊かなベース演奏を、フィリー・ジョーの軽快なブラシと共に楽しめる、トリオでの演奏です。

 このジャズ・ウェストというレーベルは Herbert Kimmel という方が立ち上げたレーベルですが、10枚の作品を制作し、2年間で消えていったレーベルです。しかしその10作品の中には本作をはじめとして、ケニー・ドリューなどの作品があり、10枚中4作品は2年間の活動から65年となった現在でもCDで入手可能です。
 そしてこのアルバムに参加しているミュージシャンの演奏も、今でも光り輝いています。
 そんな思いを重ねながら本作を聴くと、なんだか幸せな気持ちになります。

別のお話
 次のコルトレーン参加のチャンバースのリーダー・セッションは、トランジションで1956年4月20日に行われたものです。そこでは3曲が演奏され、「Trane’s Strain」はトランジションから発売されたオムニバス・アルバムに収録されていました。残り2曲は1970年代初めに、マイケル・カスクーナ監修で発売された編集盤に収録されました。私はそれを入手することはできなかったのですが、このジャズ・ウェストでのチャンバース作品の2000年のCD発売の際に、トランジションでの3曲が追加収録されていました。