2022年8月7日掲載

Sphere
Four For All
Verve原盤
1987年3月録音

 チャーリー・ラウズ(ts)、ケニー・バロン(p)、バスター・ウィリアムズ(b)、そしてベン・ライリー(d)という4人が、スフィアーとのユニット名で1980年代に活動していました。決して派手な存在ではありませんでしたが、計6枚のアルバムを発表し、ジャズ・クラブへの出演やジャズ・フェスティヴァルへの出演を行なっていました。

 ユニット名のスフィアーとはモンクのミドル・ネームであり、1982年の初アルバム「Four in One」では、全6曲がモンクの曲となっていました。

 今日取り上げるのは彼らの5作目の作品です。この1987年という時期には、LPとCDが同時発売され、CDには追加曲ありという作品が多くありました。本作も同様であり、LPよりも2曲多くCDに収録され、全8曲となっています。モンク作は「San Francisco Holiday」1曲だけであります。 

 身を乗り出して全身で聴くジャズもあれば、背もたれに身を預け落ち着いた気持ちで聴くジャズもあり、このスフィアーはその後者の存在感で満ちています。そして穏やかな流れの中で、身を乗り出したくなる瞬間を提供しているのも、実力者4人ならではのものです。ラウズ作の「Bittersweet」、モンク作の「San Francisco Holiday」で、そんな瞬間を楽しみました。

 肺がんで64歳で亡くなる前年のラウズ、1980年代以降に多数のレコーディングを残し絶好調のバロンが微笑みあっての演奏、素敵なものです。