John Coltrane
OM
impulse!原盤
1965年10月録音
収録曲解説
黄金カルテットにメンバーを追加しての活動を始めたコルトレーンが行った、最初のスタジオ・セッションです。本作品はAS9140との規格番号で、コルトレーン没後の1968年1月に発売されました。このセッションに至る経緯、事実は次の通りです。
事実1
新生バンドで9月14日から26日までサン・フランシスコでライブ出演、9月27日から10月2日までシアトルにあるペントハウスでライブ。
事実2
ペントハウス出演中の9月30日にラジオ局が演奏を収録し、その際の録音技師は Jan Kurtis であった。
事実3
ラジオ収録の翌日の10月1日に、スタジオ録音を行った。スタジオはシアトルに隣接するリンウッドにあり、それは Jan Kurtis 所有のスタジオであった。そして Jan Kurtis が録音技師としてこのスタジオ録音が行われた。
この事実から、次のようなことを推測する。
新生バンドに手応えを感じ始めたコルトレーンは、スタジオ録音の機会を考えており、ヴェーダ聖典のマントラから構想を得ていたことを、録音したいと考えていた。そんな中でペントハウス出演中に出会った録音技師 Jan Kurtis が、近くに自分のスタジオを持っていること知り、急遽このレコーディングを行った。
なんでもこの10月1日には、6時間に及ぶ演奏を行ったそうです。そこから抜粋された29分間が、アルバム「オム」として発売されました。
この30分について「今日のコルトレーン」に詳しく書いております。
哲学や宗教、東洋音楽などを書物などを通して知識を貯めていったコルトレーンは、黄金カルテットで一つの頂点を極め、1964年にはアルバム「至上の愛」を完成させました。そして1965年には新たな演奏スタイルを求めて、6月28日に大編成でスタジオ録音を行い、アルバム「アセンション」を制作しました。そして9月にいよいよ新生バンドによる活動に、コルトレーンは舵を切っていきました。
その展開の中で、9月30日にはシアトルでの演奏がラジオ局によって収録され、翌10月1日には急遽のスタジオ録音を行いました。この連続する展開は、コルトレーンの死後に発売されました。多くのコルトレーン愛好家は、この二日間の展開に、多くの興味を抱いてきたことでしょう。
さてこの日にはスタジオで6時間の演奏が行われたようです。いつの日にか、その演奏を聴きたいです。