2021年12月3日掲載

John Coltrane
Live at the Village Vanguard
impulse!原盤
1961年11月録音

各曲解説「今日のコルトレーン」

A面
Spiritual (VV. 11/3)
Softly As In A Morning Sunrise (VV. 11/2)

B面
Chasin’ The Trane (VV. 11/2)

 このアルバムは、AS10との規格番号でインパルス!から1962年2月に発売(Wikipedia)されました。インパルス!でのコルトレーン作品、第二弾となります。伝説のヴィレッジ・ヴァンガードでの演奏が1961年11月ですから、インパルス!は早いタイミングで発売したことになります。

 ヴァンゲルダーが録音機材を持ち込んで四日間に渡りテープを回し、(Chasin’ The TraneとChasin’ Another Traneを同一曲として)曲数では9曲、合計で22テイクを収録しています。

この作品には次の曲が収録されています。
A面
Spiritual 録音三日目(1961年11月3日)
Softly As In A Morning Sunrise 録音二日目(1961年11月2日)
B面
Chasin’ The Trane 録音二日目(1961年11月2日)

 白熱のライブから3ヶ月後に、9曲中3曲、22テイク中3テイクが、ジャズファンに提供されました。

 「ヴィレッジ・ヴァンガードではドルフィーはあまり活躍出来なかった」と言われていた、とのお話を聞きます。本当にそう言われていたのか、誰がいっていたのかは、私は確認できていません。ヴィレッジ・ヴァンガードでの熱演の数々の半分が世に出た1970年代後半以降からは、こんなことを言う方はいなくなったようですが、1962年に本作品が発売された際にそんな話が出ていたのは当然のことでしょう。何しろ3曲中1曲しかドルフィーは実質演奏していないからです。

 A面1曲目の「Spiritual」は、伝説のヴィレッジ・ヴァンガードでの名場面の一つと言えます。そこでドルフィーはバスクラで素晴らしい演奏を行なっています。
 しかしA面2曲目の「Softly As In A Morning Sunrise」ではドルフィーはお休み、そしてB面を全て使った「Chasin’ The Trane」では、ドルフィーは最後の最後にアルト・サックスで一吹きするだけなのです。

 では「ドルフィー外し」でこのようなアルバム作りをしたのかと言えば、それは違うことでしょう。先ず「Chasin’ The Trane」ですがこのセッションで3回演奏し、コルトレーンが力を入れてきた曲です。インパルス!はそのベスト・テイクが、この二日目の実質トリオでの演奏と判断したのでしょう。その意味では4回演奏された、つまり毎日演奏された「Spiritual」にも同様なことが言え、そこには生き生きしたドルフィーの演奏があります。

 では「Softly As In A Morning Sunrise」はどうなのかとなるのですが、この曲は11月2日の一度しか演奏されませんでした。カルテットでの演奏です。私の想像ですが、このヴィレッジ・ヴァンガードのライブ盤を発売するにあたり、スタンダード曲が必要だと、インパルス!は考えたのでしょう。取り急ぎの演奏なので、カルテットだけで演奏しましょうとなったのではと、私は考えています。

 アルバム全体の構成を考えて、売れることも考え合わせて、結果としてこのような曲構成のアルバムとなったのでしょう。

 各曲については「今日のコルトレーン」をご覧ください。ジャズ界に数多くある熱演ライブの中でもトップクラスの演奏が、1962年に発売されました。