2021年3月5日掲載

Shai Maestro
The Dream Thief
ECM原盤
2018年4月録音

 雪景色の森、木々がバーコードのように並び、自然と人間の共存を訴えているように感じたイラストのジャケです。と書きながらクレジットを見れば、「Cover photo : Fotini Potamia」とあります。「Liner photos」として違う方がクレジットされているので、Fotini Potamia はジャケの写真を撮った方なのでしょう。「Design : Sascha Kleis」とのクレジットもあり、ジャケは大きくデジタル処理されたものなのでしょう。そう思い、改めてジャケを見たのですが、どうしても私にはイラストだと感じました。

 さてシャイ・マエストロのECMからのピアノ・トリオ作品です。彼がECMから作品を発表するのは、自然の流れだったと思います。
Jorge Roeder(b), Ofri Nehemya(d) との演奏です。

 ソファーに身を委ねて聴けば、美しく切なく、甘く苦く、そんな気持ちの流れを感じます。前屈みなり耳をすまして聴けば、それぞれの感情に気持ちが動いていきます。私にはこのタイプの作品は、ソファーに身を委ねて聴くのが好ましいものです。流れを感じて聴く、その過程では聴き逃しも多いのですが、やはり流れを感じていたい。そしてその流れが自分に強く訴えかける瞬間を、楽しみたいものです。

 ジャケットにある光景は、輝いた一瞬の姿なのでしょう。そしてマエストロのこのピアノ・トリオ作品にも、そんな一瞬を何度か味わいました。木々を見るのではなく、森の動きを感じる、これを楽しみ、聴き終えました。