2021年1月9日掲載

Wynton Marsalis
From The Plantation To The Penitentiary
Blue Note原盤
2006年6月録音

 ディスクユニオン関内店中古CD半額セールで、250円で購入した作品です。

 私はウィントン・マルサリスの1980年代の作品は新譜で追っかけていましたが、ある時を境に新譜を買い求めなくなりました。ブルーノトートからの2003年録音作品は買いましたが、そこ止まりでした。Wikipediaで彼のページをみれば90枚近くの作品を発表し続けてきたウィントンですので、私は彼のほんの一瞬の姿を知っているに過ぎません。

 今回聴く機会に巡り会えた作品は、2006年録音のもで、メンバーは次の通りです。
Walter Blanding(ts,ss), Dan Nimmer(p), Carlos Henriquez(b), Ali Jackson(d), そしてJennifer Sanon(vo)です。どうやら歌手のジェニファー・サノンの参加が、この作品のポイントになるのでしょう。彼女についてネットで情報を求めましたが、本作品のページに行き着くのばかりでしたが、個人の方のページで彼女の紹介がありました。そのページによれば、2003年の「Lincoln Center’s Annual Essentially Ellington Competition」に出演した彼女をウィントンは、「傑出したボーカリスト」と絶賛し、彼女が17歳の時からリンカーン・センター・ジャズ・オーケストラに参加することになったようです。
 この情報を頼りにすれば、本作品を録音した際は二十歳ほどの彼女となります。

 アルバムのタイトルは直訳では「植民地から刑務所まで」となりますが、その意味は何なのでしょうか。その辺りも意識しながら聴いてみます。

In the heart of freedom…in chains
In the heart of freedom…insane
In the heart of freedom…insane
In the heart of freedom…in chains

 タイトル曲の歌詞ですが、黒人の歴史を語っているものです。そしてこの訴えは、今の世にもあることなのでしょう。

 この作品ではウィントンのトランペット演奏も素敵なのですが、ウィントンは全体の構成を、バンドとてのムーヴ感に、恐らくは力を注いだ作品だと感じました。とにかくリズムとアレンジの絡み合いを堪能できました。そしてそこに、底力のあるジェニファー・サノンの歌声が乗り、聴きどころ満載の作品になっています。

 歌詞の意味はわかるのかと聞かれたら返事に困りますが、このリズムとアレンジの絡み合いは十分に楽しみました。