2021年1月8日掲載

Branford Marsalis / Joey Calderazzo
Songs Of Mirth And Melancholy
Marsalis Music原盤
2010年1月録音

 ディスクユニオン関内店中古CD半額セールで、400円で購入した作品です。

 サックス奏者としてベテランとなった50歳目前(録音時)のブランフォード・マルサリス、そしてピアニストのジョーイ・カルデラッツォとのデュオ作品です。

 この録音の際には45歳だったジョーイ・カルデラッツォは、マイケル・ブレッカーやブランフォードとの共演で、キャリアを積み重ねてきた方のようです。

 こんな二人の共演盤、サックスとピアノでのデュオ作品なのですが、ブランフォードほどの名前ならば、もっと名のあるピアニストを選べばと思ってしまいますが、ディスクユニオンのページにこのデュオ作品制作に至った経緯が紹介されていました。

 2009年のニューポート・ジャズ祭では、レーベル Marsalis Musicが自由に使える枠があったそうです。そこでブランフォードは、自身のバンドで共演していたジョーイ・カルデラッツォとのデュオで演奏したそうです。その演奏でブランフォードは、ジョーイが凄い地点に到達していることを知り、どうしても一緒の作品を残したく、本作品の録音になったそうです。

 「歓喜と憂鬱」と題された本作品を、今日は聴いてみます。

 いや、驚いた。サックスとピアノが一体となり、メロディを聴く者に真剣に届けてくれる、素晴らしい作品です。1曲目は「Mirth」側の演奏で、ジョーイ・カルデラッツォの曲作りのうまさが生きています。2曲目はブランフォード作で、「Melancholy」側の重量感ある曲です。この二曲だけで満足なのに、残りの7曲も良い曲、素敵な演奏が続きます。

 二人が醸し出したメロディの余韻に酔ってしまう本作品ですが、ライナーノーツにフランスの作曲家のダリウス・ミヨー氏の生前の言葉が引用されています。
Anybody can acquire a brilliant technique…Melody alone permits a work to survive.

 私は初めて知った言葉ですが、有名なものなのだそうです。本作品を聴いた後だと、昔から知っている言葉のように感じました。