2020年11月9日掲載

Eli Degibri
In The Beginning
Fresh Sound原盤
2003年1月録音

 テナー・サックス奏者のエリ・デジブリに関しては、2005年録音作品「Emotionally Available」を「今日の1枚」で2008年11月17日に掲載しましたが、その際に私は彼をイスラエル出身ジャズマンとは知らずに、と言いますかイスラエル・ジャズという知識が全くない状態でした。そして彼についての情報を得たくても難しい状態でしたが、今ではWikipediaに彼のページがありますので、少し紹介します。

 1978年にイスラエルのヤッファ(テルアビブのすぐ南)で生まれた彼は、7歳でマンドリンの演奏を始め、10歳の時にサックスに転向しました。18歳の1997年に奨学金を受けてバークリー音楽大学に入り、1999年にはハンコックのバンドに加わりプロ活動を始めました。今日取り上げる作品は、彼の初リーダー作になります。

 今年の6月にディスクユニオン関内店の「E」コーナーでエリさんの作品を物色しましたら、本作品しかありませんでした。「買えるものなら買ってみろ」、そんなジャケです。これを紹介して頂いたSNSでの知人も、「私的には駄目ジャケ選手権ベスト3です」とコメントしておりました。この言葉、ディスクユニオンで手にした際に理解できました。彼の他の作品は彼の人間性が出ている良いポートレートを使っていますが、この第一作だけは「寄るんじゃねぇ」との嫌なものです。でもこの作品しかない、よって購入となりました。

 Aaron Goldberg (p), Kurt Rosenwinkel (g), Jeff Ballard (d), そしてBen Street (b)との演奏です。

エリさんのサックスは多様な姿を見せますが、常にそこには優しさ、哀しさを知っている人が表現できる優しさが、彼の演奏のベースにあります。タイトル曲と、「With You」から「With You -Epilogue」へと続く展開に、そんな辺りを強く感じました。

 ベースとのデュオで「All The Things You Are」を決めるなど、エリさんとしてはこの2003年の時点で表現したいことを、全てこの作品にぶち込んだのでしょう。それにはパワーがいるものだったので、製作サイドがこしらえたジャケットまでは気が回らなかったのでしょう

 フレッシュサウンドからの発売なので、2003年のジャズの新譜を扱うお店では、この作品が店頭に並んでいたはず。この素敵な内容の作品を買った方の、眼力と度胸に敬服しました。