2022年12月5日掲載

Thelonious Monk
Monk’s Music
Riverside原盤
1957年6月録音

 オリン・キープニュースはモンクのアルバム制作のために、6月25日と26日の二日間、スタジオとミュージシャンやエンジニアを確保しましたが、25日はモンクの体調面の問題から主役が早退となりました。残された26日の一日で予定が全て録音されるのか、別の日を用意することになるのか、オリン・キープニュースは気を揉んでいたとのことです。結果はこの26日だけで予定曲を全て収録でき、アルバム「モンクス・ミュージック」が完成しました。
 このセッションにはモンクを入れて7名のミュージシャンが参加しており、次の3つの編成で演奏されました。

編成A
Ray Copeland(tp)
Gigi Gryce(as)
Coleman Hawkins(ts)
John Coltrane(ts)

編成B
Thelonious Monk(p)
Ray Copeland(tp)
Gigi Gryce(as)
Coleman Hawkins(ts)
John Coltrane(ts)
Wilbur Ware(b)
Art Blakey(d)

編成C
Thelonious Monk(p)
Coleman Hawkins(ts)
Wilbur Ware(b)
Art Blakey(d)

 このことから、このアルバム「モンクス・ミュージック」は複数のセッションで構成されているとの認識の方もいるとは思いますが、1つのセッションによるものです。

A面
Abide with Me (A)
Well, You Needn’t (B)
Rudy, My Dear (C)

B面
Off Minor (B)
Epistrophy (B)
Crepuscule with Nellie (B)

 コルトレーンはA面の3曲目(Rudy, My Dear)以外の5曲で、テナー・サックスを演奏しています。

 コルトレーン参加曲については、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。

 この作品はA面の最初とB面の最後にホーンのアンサンブルで演奏を配し、それ以外の曲はホーン陣のアドリブの楽しさを味わえる演奏となっており、その点でも楽しめる素敵な内容と言えます。

 さてコルトレーンが参加していない「Rudy, My Dear」ですが、これにはホーンとしての参加はコールマン・ホーキンスだけです。そしてモンクはこのセッションの後の7月に、同じ編成で(ドラムスは変更)テナーをコルトレーンにして収録しています。
 この二つの「Rudy, My Dear」は、コールマン・ホーキンスとコルトレーンというテナー奏者の違いをたっぷりと味わえるもので、この聴き比べは私の中で非常に興味深いものです。

 この作品でのホーキンスは、貫禄のバラッド演奏となっています。