2022年11月5日掲載

Jazz in Transition
Transition原盤
1956年4月録音

コルトレーン参加曲

 コルトレーンはチャンバースのバンドに加わり、ジャズ・ウェストで1956年3月2日にレコーディングを行い、翌月の4月20日にはトランジションへレコーディングを行いました。ジャズ・ウェストではカルテットでしたが、ここではクインテットを基本に演奏しました。

 Curtis Fuller(tb), John Coltrane(ts), Pepper Adams(bs), , Paul Chambers(b), “Philly” Joe Jones(d) がそのメンバーです。ここで3曲を収録して、その中の「Trane’s Strain」がこのオムニバス盤に収録され、1956年秋に発売されました。この曲ではRoland Alexanderがピアノで参加しています。

Sun Ra, Swing A Little Taste
Donald Byrd, Crazy Rhythm
Dick Wetmore-Tommy Ball, Backstreet
Herb Pomeroy, Tiny’s Strain
Curtis Fuller-Pepper Adams, Train’s Strain
Ceil Taylor, Sweet & Locely
Jay Migliori, Something’s Gotta Give

 以上の7曲が収録されています。この1956年の秋口での知名度からなのでしょうか、チャンバースの演奏はカーティス・フラーとペッパー・アダムスとクレジットされています。

 シカゴ時代のスイングするサン・ラを楽しみ、

 バップの切れ味をジョー・ゴードンと決めているドナルド・バードに揺れて、

 ディック・ウェットモアとトミー・ボールという知らないお方の心の涙を感じる演奏に酔い、

 新進気鋭のトランペッターらしいハーブ・ポメロイの甘く切れ味光るトランペットになるほどと思い、

 チャンバースの演奏は「今日のコルトレーン」をお読み頂くとして、

 セシル・テイラーは22歳の時からオリジナルティに満ちていることを感じ、

 ビッグバンドの世界では知られた存在のジェイ・ミグリオリの洒落たテナー・サックスを楽しんで、

 本作を聴き終えました。
(国内版CDでの児山紀芳氏の解説を参考にしています) 

 このトランジション・レーベルやオーナーであるトム・ウィルソンについては、「今日のコルトレーン」にコメントしてあります。このオムニバス盤には、これからジャズ界やポップ界の名プロデューサーとなっていく若者の、心意気が詰まっていると感じました。

 さてコルトレーン入りのチャンバースが吹き込んだ他の2曲ですが、1970年代初めにマイケル・カスクーナの発掘作業によって、アルバム「ハイ・ステップ」で世に出ました。