John Coltrane
Kulu Sé Mama
impulse!原盤
1965年10月録音
各曲解説「今日のコルトレーン」
このアルバムの収録曲と録音日は次の通りです。
A面
Kulu Sé Mama(1965年10月14日)
B面
Vigil(1965年6月16日)
Welcome(1965年6月10日)
このアルバムのメインは、やはりA面に収録されている19分近くのタイトル曲でしょう。コルトレーンは自分のグループを新たな編成にして、1965年9月中旬から西海岸でライブを行い、その間にアルバム「オム」のセッションを行い、そして10月14日に西海岸のスタジオでそのメンバーとのレコーディングを行いました。2曲を収録し、もう一つの曲は「Selflessness」です。
次にB面に目を移すと、1965年6月10日は黄金カルテットでのアルバム「トランジション」向けのセッションです。そしてその中から最初に発売されたのが、この「Welcome」です。
「Vigil」は6月16日のもので、これもこのセッションから最初に発売された曲となります。
激動の1965年の変化の前後を捉えた作品と言えますが、アルバム構成としては中途半端な印象となります。
この作品は、A(S)-9106との規格番号で発売されました。各資料を見ますと1967年1月の発売とのことのようですが、1966年に発売されたとの説もあります。
各曲については「今日のコルトレーン」をお読みください。
A面には、新生グループによる10月の活動の特徴が明確に表れています。二週間ほど前の10月1日に収録されたアルバム「オム」と、この「クル・セ・ママ」という曲を併せて聴くと、この10月のコルトレーンが頭に描いたものがみえてきます。
B面の2曲を聴くと、黄金カルテットの最後の時期での、コルトレーンの構想がこの編成でどのように表現できるかの試みが、動と静の演奏で聴くことができます。
この時期のコルトレーンを時系列でとらえながらこのアルバムを聴くと、実に興味深い作品になってきます。