2019年5月3日掲載

Miles Davis
Workin’
Prestige原盤
1956年5月録音

各曲解説「今日のコルトレーン」

 「work」という重要動詞には多数の使われ方があり、その中に「作品、著作」との意味があります。このアルバムでのタイトルの意味は当然これかと思うのですが、ジャケットを見ればそうとも考えられません。
 タバコを手にしてのジャケットにネクタイ姿のマイルスの後方には、舗装工事中の道路に建設中のビルが写っています。舗装作業員と思われる人に、ロードローラーがある写真です。そすると「作業」の意味で、本アルバムのタイトルにしたのでしょう。
 第二次世界大戦後に更なる大発展を遂げたアメリカ経済の中でも、1950年代の朝鮮戦争に刺激されての発展は目覚ましいものでした。その中のの地味なシーンが、この写真なのでしょうかね。

 聴くジャズは1950年代にピークを迎えます。その中の名物場面が、プレスティッジでのマイルス・バンドのマラソン・セッション、本アルバムはそのセッションから発売された第三弾です。収録曲は、マラソン前半から7曲、後半から1曲です。マイルスとコルトレーンが抜けたリズム陣だけでの演奏が、1曲あります。

 前2作に続いてガーランドの魅力から入り、マイルスのミュートに痺れる曲で開始されます。そしてアルバムとしての曲配置の良さも加わり、モダンジャズが輝いていた時代を名場面を楽しめる作品になっています。

 マラソンセッション前半のコルトレーンいついて、少なからずよく言わない向きが世間にはあります。確かに前半と後半のバンドのまとまり、そしてコルトレーンの演奏には飛躍があります。その飛躍は、コルトレーンの音楽人生最後まで続くのですが、私はプロ生活を実質的スタートさせたマラソン前半、さらにはそに半年前の「小川のマイルス」でのコルトレーンを愛しております。

 マイルスとコルトレーン抜きで演奏された「Ahmad’s Blues」は、作者ジャマル特有のメロディにガーランドの味わいが乗り、チェンバースとフィリー・ジョーにも聴かせどころを用意して、良い演奏です。