2021年3月9日掲載

Hugh Masekela
Home Is Where The Music Is
Blue Thumb原盤
1972年1月録音

 SNSで南アのトランペット奏者ヒュー・マセケラの紹介を目にした際には、そんな人もいるのかと思いましたが、調べてみましたら大物であり、改めて自分の知識の浅さを実感しました。

 ここでヒュー・マセケラの紹介をWikipediaから、としようと思いましたが、彼のページは本当に長文、ごく簡単に触れておきます。

 1939年に南アに生まれ、黒人ならではの苦労を重ね、反アパルトヘイトの運動にも加わっていました。音楽の面では子供の頃からピアノと歌に馴染んでおり、14歳の時には映画の影響でトランペットの演奏を始めました。その後も多くの苦労中でも音楽を続けていたようです。1960年にはロンドンのギルドホール音楽学校に入り、多くの国際的な友人を得たとのことです。そしてプロ活動、その中で1967年にモントレー・ポップ・フェスティバルに出演し、大好評を得たとのことです。レコードに関しては1962年から作品を発表していますが、1967年発売のシングル「Up, Up and Way」がヒットし、その翌年に発売した「Grazing in the Grass」は400万枚の大ヒットとなり、ビルボードで1位になりました。
 その後も活発な音楽活動を続け、また音楽学校をボツナワに作ったり、ポーリ・サイモンなどの著名ポップ・スターとツアーを行ったりとしていました。

 Wikipediaに掲載されているだけで40枚ほどのリーダー作を発表しているヒュー・マセケラは、2018年に78歳で亡くなりました。

 今日取り上げるのは、既に彼が有名人になっていた32歳の時に吹き込まれた作品です。Dodu Phukwana(as), Larry Willis(p), Makhaya Ntshoko(d), Eddie Gomez(b) と、ロンドンのスタジオでの演奏です。

 ポップでファンキーでジャズであり、このお方の目指すところは肩肘張らずに音楽を楽しみましょう、とのものかと感じました。私はYouTubeで聴いた「Grazing in the Grass」に通じる演奏です。そんな曲と共に、「Minawa」は綺麗な小川がある風景が頭に浮かび、「Uhome」では嫌な予感がする夜の闇を感じ、とのようにスローな曲があります。ほぼ交互に置かれたこの二つのタイプの演奏で、一枚を楽しく聴き終えました。