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  • 1291 Larry Schneider Quartet / Just Cole Porter
  • 1292 Jimmy Heath Quartet / You’ve Changed
  • 1310 Von Freeman / Never Let Me Go

 中堅テナーマンと、大ベテランのテナーマンの2人、1990年代に突入したスティープル・チェイスでリーダー作品を発表しました。


1291 Larry Schneider Quartet / Just Cole Porter

 1970年代からプロとしての演奏活動を始めたラリー・シュナイダーは、マイルスやビル・エヴァンスなどとの共演を行なっていました。そのシュナイダーのリーダー作品は1980年代の終わりにようやく登場、そして1990年代に入ってからはスティープル・チェイスに10枚上のリーダー作品を残していくことになります。その第1作となるこのアルバムでは、アンディ・ラヴァーンにマイク・リッチモンド、そしてキース・コープランドという、スティープル・チェイスのハウス・ミュージシャンとも言える方々との共演です。

 コール・ポーターの曲が並ぶこのアルバムの1曲目では、「I Love You」が演奏されています。大有名曲が並ぶポーターの曲の中にあっては控えめな知名度の曲なのでしょうけれど、テナーサックスでの演奏となれば、コルトレーンのそれで有名な曲です。1957年8月16日にトリオで録音され、アルバム「ラッシュ・ライフ」に収録されています。

 そしてラリー・シュナイダーの「I Love You」、重量感あるテナーの響きを単横できます。


1292 Jimmy Heath Quartet / You’ve Changed

 数多くの有名ジャズマンと共演を重ねてきたジミー・ヒースは、1990年代にスティープル・チェイスに二つのリーダー作品を残しました。その最初の作品がこのアルバムで、カルテットでの演奏です。

 アルバム名となっているヴィクター・ヤングの「You’ve Changed」ではベテランならではの味わいでの渋いテナーの響きを堪能でき、またギター、ベース、ドラムスとのバック陣との相性抜群のバラード演奏を楽しめます。


1310 Von Freeman / Never Let Me Go

 フォン・フリーマンがリーダー作品を発表したのは、50歳を目前にした時でした。そしてその後の30年ほどで、20枚近くのリーダー作品を残したのです。スティープル・チェイスには3枚のリーダー作品を発表し、その最初のが、このアルバムです。カルテットでの演奏ですが、ピアノのジョディ・クリスチャンの参加が目をひきます。ビバップ時代の終わりに演奏活動を始めたとのクリスチャンですが、なんと言ってもAACMの創設者の一人であることで知られています。

 スタンダード曲が並ぶこのアルバムの中で、「Never Let Me Go」の演奏が心に残ります。ジェイ・リビングストンによるこのバラードでの、テナー・サックスとピアノが思い深く演奏する姿は、感動ものです。


【ついでにフォト】

2013年 ペナン マレーシア

2025年1月31日掲載