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- 1073 Stan Getz / Live at Montmartre vol. 1
- 1079 Archie Shepp and Horace Parlan / Goin’ Home
- 1095 Buck Hill Quartet / This Is Buck Hill
大物二人と幻のテナー・サックス奏者、こんな方々がスティープル・チェイスにリーダー作品を残しました。
1073 Stan Getz / Live at Montmartre vol. 1
初期のスティープル・チェイスと言えばモンマルトルでのライブ盤、その中でも人気なのが、1977年1月のスタン・ゲッツのものでしょう。 ジョアン・ブラッキーンのピアノにペデルセンのベース、そしてビリー・ハートのドラムスとの、カルテットでの演奏です。この時期のゲッツはコロンビアと契約をしていたようなので、どういう経緯でニルス・ウインターが発売できたのかは分かりませんが、ジャズ・ファンに温かく迎えられた作品です。なお第2集も同時発売となっています。
ゲッツがミルトン・ナシメントの曲「Cançao do Sol」を取り上げるのは、自然なことなのでしょう。ブラッキーンのエレピとゲッツのテナーで、気怠く陽気に不思議な響きとなっています。
1079 Archie Shepp and Horace Parlan / Goin’ Home
デュオ作品のスティープル・チェイスの中で、ピアノといえばケニー・ドリュー、ベースといえばペデルセン、そしてテナー・サックスと言えばこのアーチー・シェップとなります。シェップはスティープル・チェイスにリーダー作品を4枚残していますが、どれもがデュオ・アルバムです。その第1作のこのアルバムは、ホレス・パーランとの演奏です。
「Deep River」という黒人霊歌は、日本では「深き河」との名で知られており、遠藤周作はこの曲にインスパイアされて小説『深い河』を書いたとのことです。(ウィキペディアより)
シェップはパーランとこの曲を、尖った表情も見せながら淡々と演奏しており、なかなかの聴き所となっています。
1095 Buck Hill Quartet / This Is Buck Hill
1940年代からプロ活動を始めたテナー・サックスのバック・ヒルですが、家族を養うために郵便配達員の仕事に重きを置い他ので、ジャズ・ファンには知られておらず、1950年代の終わりのチャーリー・バードとの録音を知っている数少ないファンがいるだけだったようです。
そのバック・ヒルに光を当てたのはアメリカのレーベルではなく、デンマークのスティープル・チェイスでした。スティープル・チェイスは1978年3月20日にニューヨークで、バック・ヒルの初リーダー作品を録音しました。ケニー・バロンにバスター・ウィリアムス、そしてビリー・ハートといったメンバーが、スタジオに駆けつけました。
数々の名演が残されているスタンダードの「イエスタデイズ」が、このアルバムに収録されています。10分近いその演奏は、リズム陣の好演と、バック・ヒルの渋く太いテナー・サックスが響き渡り、聴き入る演奏になっています。この演奏がこの曲の「名演」に数えられることはないようですが、私にはテナー・サックスでの「イエスタデイズ」と言えば、この作品となります。
【ついでにフォト】
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2013年 ペナン マレーシア
2025年1月27日掲載