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  • 1004 Johnny Griffin / Blues for Harvey
  • 1008 Ben Webster / My Man: Live at Montmartre
  • 1025 Dexter Gordon / The Apartment

 ジャズの人気楽器であるテナー・サックスですが、スティープル・チェイスでも人気楽器であります。2000年発売までの500枚ほどの中で、30人近くのテナー・サックス奏者がリーダー作品を残しています。それを登場順に取り上げる企画の1回目は、上記の3人です。


1004 Johnny Griffin / Blues for Harvey

 デンマークの大学生ニルス・ウインターがスティープル・チェイスを立ち上げるきっかけは、モンマルトルでの録音を許可されたからでした。そんなことから、スティープル・チェイスでリーダー作品を残した最初のテナー・サックス奏者は、あのジョーニー・グリフィンとなりました。

 このアルバム名にもなっている曲「Blues for Harvey」はグリフィン作の曲で、1967年に録音を残しています。その曲をこのモンマルトルでのステージで、盛り上げ場面で演奏しています。マッズ・ヴィンディングのベースに乗ってのグリフィンのテナー・サックスの走りっぷりは、「スティープル・チェイスでリーダー作品を残した最初のテナー・サックス奏者」の名にふさわしいものになっています。


1008 Ben Webster / My Man: Live at Montmartre

 1940年代からジャズ界の第一線で活躍してきたベン・ウェブスターは、1960年代半ばから活動の場所を欧州に移し、1973年9月に亡くなるまで演奏活動をしていました。

 ベン・ウェブスターは亡くなった年の1月と4月に、コペンハーゲンにあるモンマルトルに出演しており、その模様がニルス・ウインターによって録音され、スティープル・チェイスでリーダー作品を残したテナー・サックス奏者の、二人目となったのです。

 1938年にウイラード・ロビンソンが書いた「オールド・フォークス」は、1940年代から今に至るまで数多くのジャズ・ミュージシャンが演奏してきた曲です。ベン・ウェブスターも何度もこの曲を演奏してきたのでしょう。このモンマルトルでもこの「オールド・フォークス」を取り上げており、思い出を振り返るときの人間の喜びと悲しみを、ベン・ウェブスターは表現しています。

 亡くなる数ヶ月前の演奏ですが、ウェブスターの音楽への思いは、このバラードの中に輝いています。この「オールド・フォークス」の名演は数多く世にありますが、このモンマルトルでのウェブスターの演奏も、間違いなくその中に入るものです。


1025 Dexter Gordon / The Apartment

 デクスター・ゴードンが、スティープル・チェイスでリーダー作品を残したテナー・サックス奏者の、三人目となります。16枚のリーダー作品をゴードンはスティープル・チェイスに残すことになりますが、その第1作がこのアルバムです。

 名バラード「オールド・フォークス」が、このアルバムでも演奏されています。ニールス・ペデルセンのベースに寄り添うように吹くデクスター・ゴードンの演奏は、これだけでこの名曲の名演に相応しいものです。このアルバムではケニー・ドリューのトリオが伴奏を務めていますが、この名曲ではゴードンとペデルセンの二人だけでの演奏となっており、スティープル・チェイスらしさの演奏と言えるのでしょう。


【ついでにフォト】

2013年 ペナン マレーシア

2025年1月25日掲載