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  • 1050 Dexter Gordon / Swiss Nights Vol. 1
  • 1090 Dexter Gordon / Swiss Nights Vol. 2
  • 1110 Dexter Gordon / Swiss Nights Vol. 3

 スティープル・チェイスの立ち上げを支えた30枚、その10回目で最後の今回はデクスター・ゴードン、この3枚を持っている方は多いことと思います。


1050 Dexter Gordon / Swiss Nights Vol. 1

 1975年8月23日と24日に、スイスはチューリッヒでのジャズ・フェスティヴァルに出演したデクスター・ゴードン・カルテットの演奏を収めた3作品、そのトップバッターは「紫ジャケ」であります。

 1曲目はロリンズの有名曲「Tenor Madness」ですが、ゴードンの演奏歴の中でこの曲はこのチューリッヒだけです。2曲目のアントニオ・カルロス・ジョビンの「Wave」も、ゴードンが演奏するのは珍しいものです。このチューリッヒの二日間にかけるゴードンの意気込みがこの選曲となり、その気持ちは演奏に漲っています。


1090 Dexter Gordon / Swiss Nights Vol. 2

 演奏内容の良さは勿論ですが、ジャケットの存在感から自宅でこの3枚を並べたいと、多くのジャズファンは思ったことでしょう。そして買ったことでしょう。本当によく売れた3枚です。その2枚目は「青ジャケ」、1970年台にゴードンがよく演奏した彼のオリジナル曲「Sticky Wicket」が聴けます。

 ゴードンの太い存在感は気分が乗るものですし、この後に「欧州のドラマー」と言っても過言ではない存在になっていくアレックス・リールの絶妙のサポートも聴きものです。


1110 Dexter Gordon / Swiss Nights Vol. 3

 このチューリッヒでゴードンは、ケニー・ドリュー、ニールス・ペデルセン、そしてアレックス・リールという、スティープル・チェイスの強力なメンバーと演奏しています。そしてCD化の際の追加曲の1つ(Days of Wine and Roses)には、トランペットのジョー・ニューマンが加わっています。ゴードンはジョー・ニューマンと1940年台に何度も共演した仲なので、このジャズ・フェスティヴァルに参加していたジョー・ニューマンがゴードンのステージに顔を出した、そんなことなのでしょう。3作目は「緑ジャケ」です。 

 「Sophisticated Lady」のゴードンの演奏といえば、1970年のモントリュー・ジャズ・フェスティヴァルのが1980年に入ってから発売されており、また1979年のキーストン・コーナーでの演奏はブルーノートから発売され人気盤となっています。そしてこのチューリッヒでの「Sophisticated Lady」、女性の前では背中を丸め込むような男性の心理を描いており、なかなかのゴードンであります。


【ついでにフォト】

2012年 ペナン マレーシア

2025年1月24日掲載