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  • 1052 Idrees Sulieman / Now Is the Time
  • 1059 Nat Adderley Septet / Don’t Look Back
  • 1096 Louis Smith Quintet / Just Friends

 スティープル・チェイスでリーダー作品を発表したトランペット奏者を、発表順に取り上げていきます。最初の3人は、味わい深い方々です。


1052 Idrees Sulieman / Now Is the Time

 アイドリス・シュリーマン、あるいはアイドリースなどのカタカナ表記となっている方ですが、私はジャズききはじめの頃からアイドリュース・シュリーマンと記憶してきております。

 そのシュリーマンはビバップからハード・バップの時期に貴重なレコーディングに参加してきた方ですが、リーダー作品となると少ないものです。このスティープル・チェイスでのシュリーマン第1作は彼が50歳を過ぎてからのレコーディングですが、Wikipediaを見ますと彼の6作目となるようです。シダー・ウォルトン、サム・ジョーンズ、そしてビリー・ヒギンズといった名手たちとの演奏です。

 シュリーマンとパーカーの関係は分かりませんが、シュリーマンは何度となく「Now’s the Time」を演奏してきたことでしょう。トランペッターによるこの曲の名演はなかなか思い浮かびませんが、この名手4人での演奏はそこに入れてもおかしくないものです。


1059 Nat Adderley Septet / Don’t Look Back

 ハード・バップを駆け抜けたナット・アダレイは、Wikipediaによれば1970年代に6枚ほどのリーダー作品を残しました。その1枚がこのアルバムで、ナット・アダレイの唯一のスティープル・チェイス演奏作品です。

 1曲目の「Funny Funny」は、ナット・アダレイがこのアルバムのために書いた曲かもしれません。曲名からは思い浮かばない勇ましさを感じるこの曲を、ジョン・スタブルフィールドとケン・マッキンタイヤーとの3管編成を活かした凝ったアレンジで、重量感ある演奏を聞かせてくれます。


1096 Louis Smith Quintet / Just Friends

 スティープル・チェイスのトランペッターといえばルイ・スミス、そんな活動の始まりがこのアルバムで、彼が40歳半ばのことでした。ジョージ・コールマンにハロルド・メイバーンが参加しての、クインテットでの演奏です。

 やはりクリフォード・ブラウンという存在は、ルイ・スミスにとって大きなものなのでしょう。「I Remember Clifford」でのルイ・スミスの、感情の深さに圧倒されます。


【ついでにフォト】

2013年 ペナン マレーシア

2025年2月13日掲載