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  • 1010 Kenny Drew and Niels-Henning Ørsted Pedersen / Duo 2
  • 1105 Doug Raney Quintet / Cuttin’ Loose
  • 1216 Tete Montoliu / Lush Life

 この「You Don’t Know What Love Is」について、「20世紀ジャズ名曲大事典」(SJ社、2001年)には次のようにあります。

映画「凸凹空中の巻」の主題歌として作られたラブ・バラードである。映画そのものはあまりヒットしなかったが、主題歌だけが有名になり一人歩きしたのがこのケース。「あなたは恋というものがわかっていない。ブルースの意味を知るまで。あなたが失恋するまで、恋がどんなものかわからない」と,逆説的な歌詞がつけられている。
この曲はジャズメンにとってはまさに必須ナンバーとも呼べるほどの存在で,収録したアルバムは数え切れないほどある。

 2000年頃までに発売されたスティープル・チェイスの500枚ほどのアルバムの中に、この「You Don’t Know What Love Is」が収録されているのは、12作品あります。今回は上記の3作品を取り上げます。


1010 Kenny Drew and Niels-Henning Ørsted Pedersen / Duo 2

 独立系の新興レーベルのスティープル・チェイスの事業を軌道に乗せたアルバムと言っても過言ではない『デュオ』は、1973年4月2日に録音されました。ヒット作となり、翌年2月にケニー・ドリューとニールス・ペデルセンの二人は再びコペンハーゲンのスタジオに入り、このアルバムを録音しました。そこに「You Don’t Know What Love Is」が収録されていました。

 さらっと悲しくこの曲のメロディを奏でるドリュー、そして張り詰めた緊張感あるベース演奏を聴かせるペデルセン、ピアノとベースのデュオの魅力が詰まっている演奏です。


1105 Doug Raney Quintet / Cuttin’ Loose

 ダグ・レイニーの2作目のリーダー作である『Cuttin’ Loose』は、1978年8月に録音されました。スウェーデンのジャズ界の実力者であるテナー・サックス奏者のベルン・ローゼングレンを迎え、ホレス・パーランやペデルセンにビリー・ハートといった実力者と演奏したアルバムです。そこで、「You Don’t Know What Love Is」が演奏されていました。
 ローゼングレンのテナーが雄弁に、ダグ・レイニーのギターが憂いを込めて、人を好きになることを語っているような演奏です。名手揃いのクインテットでの演奏が楽しめます。


1216 Tete Montoliu / Lush Life

 テテ・モントリューのこのソロ・ピアノ作品は、1986年に発売されました。しかしレコーディングは1971年9月25日となっています。スティープル・チェイスの第1作はマクリーン、1972年ライブ録音で1972年に発売されています。これからするとこのモントリューのアルバムは、お蔵入りになっていたテープを、スティープル・チェイスが買い取ったということなのでしょう。ここに「You Don’t Know What Love Is」が収録されています。

 悔いと願いが交差するように流れていくピアノでの「You Don’t Know What Love Is」です。


【ついでにフォト】

2006年 香港

2025年1月1日掲載