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  • 1019 Joe Albany and Niels-Henning Ørsted Pedersen / Two’s Company
  • 1045 Anthony Braxton / In the Tradition Volume 2
  • 1054 Tete Montoliu / Tête à Tete

 この「ホワッツ・ニュー」について、「20世紀ジャズ名曲大事典」(SJ社、2001年)には次のようにあります。

ベーシストのボブ・ハガートは35年にボブ・クロスビー楽団の創設メンバーの一人となり、42年のバンド解散まで在籍する。この間、彼は同楽団のアレンジャーミコンポーザーとして大活躍し,くサウス・ランパート・ストリート・パレード>や僚友レイ・ボデュークをフィーチャーしたくビッグ・ノイズ・フロム・ウイネトカン〉などを世に送り出した。この曲は彼が、37年に入団してきた新星トランペッター,ビリー・バタフィールドのために作曲したもの。つまり当初はインスト・ナンバーだったわけで、38年10月の初録音時にはタイトルも「アイム・フリー」となっていた。

 そんな経緯のこの名曲ですが、2000年頃までのスティープル・チェイスの500枚ほどのアルバムの中で、6枚にこの曲が収録されています。ここでは上記の3枚を取り上げます。


1019 Joe Albany and Niels-Henning Ørsted Pedersen / Two’s Company

 バップ期に活躍したピアニストのジョー・オーバニーは、麻薬のため1960年代には音楽活動がありませんでしたが、1970年に入ると復活して、数々のアルバムを発表しました。創成期のスティープル・チェイスに彼は2枚の作品を残しており、1974年2月17日にニールス・ペデルセンと録音したこのデュオ・アルバムに「ホワッツ・ニュー」が収録されています。

 人気盤となったこのアルバムでは、奥深く力強いオーバニーのピアノと、華麗なペデルセンのベースが堪能でき、その中でもこの「ホワッツ・ニュー」は最も長い9分超えの快演となっています。


1045 Anthony Braxton / In the Tradition Volume 2

 アンソニー・ブラクストンとスティープル・チェイスが結びつかない方が多いと思いますが、彼はスティープル・チェイスに2枚の作品を残しています。ただし2枚とも1974年5月29日の録音からのものです。参加メンバーは、テテ・モントリューにペデルセン、そしてアルバート・ヒースという、実にスティープル・チェイスらしい方々であります。

 収録曲はジャズ・ファンにお馴染みのが並んでおり、これはニルス・ウィンターの考えなのでしょう。そして演奏はブラクストン節は抑えられないものの、そこには有名曲への尊敬に満ちたものになっています。リズム陣も快調ですが、ブラクストンとのぶつかりによるプラスアルファはないようです。

 そして「ホワッツ・ニュー」ですが、疾走感あるなかなかの演奏となっています。


1054 Tete Montoliu / Tête à Tete

  創世記のスティープル・チェイスを支えたピアニストの一人であるテテ・モントリューは、多くのリーダー作品をこのレーベルに残しました。「ホワッツ・ニュー」が収録されている人気盤『テテ・ア・テテ』は、1976年2月15日と16日のセッションから生まれたもので、この二日間からは他のアルバムも制作されています。

 ペデルセンとアルバート・ヒースとのトリオでのこの曲の演奏は、ドライブ感とスリル感に溢れたものです。11分に渡る熱演は、ペデルセンの快調なソロを挟みながら、モントリューの歌心もたっぷりと味わえるものになっています。


【ついでにフォト】

2011年 マレーシア ペナン タイプーサム

2024年12月13日掲載