- 1001 Jackie McLean / Live at Montmartre
- 1002 Kenny Drew and Niels-Henning Ørsted Pedersen / Duo
- 1004 Johnny Griffin / Blues for Harvey
この1世紀近くのジャズ界に、多くのレコード会社とレーベルが、誕生してきました。しかしながら独立系のレーベルが長続きするには難しいもので、少しでも注目を浴びた作品があれば大手に吸収され、そうでなければ忘れ去られていきました。今に至るまでこれの繰り返しでありますが、言い換えればその繰り返しがジャズを支えてきたのでしょう。
その歴史の中で、例外となったレコード会社とレーベルが、ほんのいくつかあります。1972年にデンマークはコペンハーゲンの大学生であったニルス・ウインターが設立した、スティープル・チェイスでした。50年以上に渡り、1000枚ほどの作品を発表し続けているレーベルです。
レコード会社とレーベルを作るには理念が必要ですが、当たり前ですがお金が必要です。その経営に関して言えば、立ち上げ時のヒット作は、何よりも重要なものです。
スティープル・チェイスの立ち上げ時に、経営に貢献したアルバムを30枚ピックアップし、掲載していきます。ただし、私 マハールの独断ですので、あくまで「貢献したと思う」アルバムであります。第1回目は上記の3枚です。
1001 Jackie McLean / Live at Montmartre
Wikipediaによれば、ニルス・ウインターはコペンハーゲンはモンマルトルでの演奏模様をレコーディングすることを許されていたとのことです。そしてそれをレコード化して発売することに繋がりました。
スティープル・チェイスのカタログ番号1番のこのアルバムは、ジャッキー・マクリーンが1972年8月5日にモンマルトルで行った演奏を収録したものでした。ピアノにケニー・ドリュー、ドラムスにアレックス・リールが参加しての、カルテットでの演奏です。
マクリーンがブルーノートを中心としたレーベルでの輝かしい活動から離れ、新たな道を進んでいた時期のこのアルバムには、自分の本当に取り組みたい音楽に楽しく向き合っているマクリーンの姿があります。またスティープル・チェイスにとっても、レーベル立ち上げの名刺代わりの作品となりました。
1002 Kenny Drew and Niels-Henning Ørsted Pedersen / Duo
大ヒットなったスティープル・チェイスの第1作を受け、このレーベルは本格的な活動へとなっていきます。ニューヨークでのジャズ最前線での活動から欧州へ移っていたケニー・ドリューと、コペンハーゲンでアメリカからやってくる大物ミュージシャと共演を重ねていたニールス・ペデルセンとの、デュオ・アルバムです。1973年4月2日に、コペンハーゲンのスタジオで録音されました。
ピアノとベースのデュオによる、暖かくジャズ心を満たすこのアルバムは、ニルス・ウインターのプロデューサーとしての資質が詰まったものです。一見して地味なアルバムですが、世界の多くのジャズ・ファンの心を掴み、大ヒットとなりました。
1004 Johnny Griffin / Blues for Harvey
スティープル・チェイスの4作目に登場したのは、ジョニー・グリフィンが1973年7月4日から5日にかけて出演した、コペンハーゲンはモンマルトルでの演奏を収録したアルバムです。ケニー・ドリューにマッズ・ヴィンディング、そしてエド・シグペンとの、カルテットでの演奏です。
ジョニー・グリフィンがスティープル・チェイスに残した演奏は、本作品だけです。ニルス・ウインターはモンマルトルでの演奏を録音する許可を得ていたのですが、この有名ジャズマンのアルバムを発売する権利を得た経緯は、ネットで調べましたが分かりませんでした。
熱気が飛び散るグリフィンのサックスの魅力を正面から捉えたこのアルバムは、演奏が伝わってくるジャケットの良さも加わり、これまたヒット作となりました。
【ついでにフォト】
2013年 ペナン マレーシア
2025年1月5日掲載