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  • 1060 Dexter Gordon Quartet / Bouncin’ with Dex
  • 1227 Joe Bonner Quartet / The Lost Melody
  • 1232 Duke Jordan Trio / Time On My Hands

 この「イージー・リヴイング」について、「20世紀ジャズ名曲大事典」(SJ社、2001年)には次のようにあります。

ミッチェル・ライゼンが監督し,ジーン・アーサーとレイ・ミランドが主演した37年の同名映画(邦題「街は春風」の主題歌。ただし、このときにはインストゥルメンタルのみで使用された。歌詞が劇中で使われたのは49年製作の同名映画(日本未公開)でだが、映画の内容はまったく前作とは無関係だった。作者はレオ・ロビン(詞)とラルフ・レインジャー(曲)の名コンビ。彼らはくブルー・ハワイ><サンクス・フォー・ザ・メモリー><イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー>などでも知られている。

 ビリー・ホリデイの圧巻の歌唱がすぐに思い浮かぶこの曲ですが、2000年頃までのスティープル・チェイス500枚ほどの中に5作品、この曲を収録しています。ここでは上記の3枚を取り上げます。


1060 Dexter Gordon Quartet / Bouncin’ with Dex

 デクスター・ゴードンが1975年9月14日に吹き込んだこのアルバムに、「イージー・リヴイング」が収録されています。テテ・モントリュー、ニールス・ペデルセン、ビリー・ヒギンズとのカルテットでの演奏です。なおCD発売時には、この「イージー・リヴイング」の別テイクが収録されました。

 モントリューが盛大に幕開けし、ゴードン節全開のテナー・サックスがゆったりと流れ、華麗なモントリューの短いソロを挟んで再びゴードンがテーマを奏で、5分半がゆったりと過ぎていく、「イージー・リヴイング」であります。


1227 Joe Bonner Quartet / The Lost Melody

 ピアニストのジョー・ボナーは1970年代半ばにミューズから作品を発表し注目され、このスティープル・チェイスでは1970年代終わりから10年ほどの間に、6枚のリーダー作品を残しました。その中の1987年に発売されたアルバム『The Lost Melody』に、この「イージー・リヴイング」が収録されています。カルテットでの演奏ですが、参加メンバーで注目なのはサックスのボブ・ロックウェルの存在でしょう。

 9分ほどの「イージー・リヴイング」の演奏の中で、前半にぎこちなさがあるものの、すぐにそれは落ち着いた演奏となっていきます。さらっとしたボナーのピアノの色合いに合わせたかのようなロックウェルのテナーが印象に残ります


1232 Duke Jordan Trio / Time On My Hands

 スティープル・チェイスのピアニストといえばデューク・ジョーダンですが、彼はこのレーベルに20枚を超えるリーダー作品を残しています。そのほとんどがトリオでの演奏で、1985年7月29日に録音された「イージー・リヴイング」収録のアルバム『Time On My Hands』も、トリオでの演奏です。イェスパー・ルンゴーとビリー・ハートという、スティープル・チェイスお馴染みのベースとドラムスが参加しています。

 決して快調とは言えない5分間のこの曲の演奏ですが、渋い味わいを感じます。


 なお次の2作品にも「イージー・リヴイング」が収録されています。
1443 Scott Colley / This Place
1444 Harold Danko Trio / Three of Four


【ついでにフォト】

2006年 香港

2024年12月15日掲載