Leo
(John Coltrane)
(22分53秒)
【この曲、この演奏】
1966年7月22日の日本公演13日目の東京厚生年金会館で40分超えの演奏となったこの曲、1966年11月11日のテンプル大学で20分超えの演奏となったこの曲ですが、7月2日のニューポートでもの演奏されていました。
その演奏ですが、コルトレーンがテナーサックスでモールス信号のようなテーマを、強い気持ちで荒々しく演奏し始め、すぐにファワオが加わり、二人での探求の旅が始まっていきます。この荒々しい表面の裏側には、人間が持ついくつもの感情が交差していくようであります。
この二人のテナーの後には、ピアノを軸にしての5分強の展開があり、再びテナーの二人の9分の世界に突入していきます。
この日は3曲が続けて演奏されているため、この曲の終了で聞ける
拍手が、知ることができる唯一の観客の反応です。それは演奏同様に熱狂のものと聞けました。
【エピソード、ノルウェーのジャーナリスト、ランディ・ハルティンの著書から その8】
「レコードを持っていってもいいかな?」とコルトレーンは訊いた。「ストックホルムでアルバート・アイラーのアルバムを買ったんだ。これが聴きたくてね」(著者注:おそらくはアイラーの処女作「サムシング・ディファレント」だろう)
我が家についた私は、ヤギのチーズや冷凍ものの魚で彼をもてなした。ビールを勧めたが、いらないと言われた。
「酒は十年前にやめたんだ。お茶はあるかな」
コルトレーンは、ノルウェーの民謡やジャズを聴きたがった。時間はあっという間に過ぎた。そう言えば、アルバート・アイラーのアルバムをかけることをすっかり忘れていた。当時の私はアイラーが誰なのかも分かっていなかったが、振り返ってみると、コルトレーンの彼の音楽に対する意見を聞いてみたかった気もする。アイラーは何かと物議を醸すミュージシャンだ。かくいう私も、このあと、彼のレコードを初めて聴いてときは、この世にこれほど長いLPレコードがあるものかと思ったものだ。
ランディ・ハルティン著「Born Under The Sign Of Jazz(ジャズの星の下に生まれて)」(London: Sanctuary, 1998, 2000)’ 157-162ページより (資料04)
【ついでにフォト】
2009年 ペナン、マレーシア
(2023年3月21日掲載)