Welcome
(John Coltrane)
(11分間)
【この曲、この演奏】
公式発売で聴けるこの曲は、1965年6月10日のスタジオ収録でのものです。この日の演奏は1970年発売のアルバム「トランジション」に収録されている曲が多いですが、この曲はアルバム「クル・セ・ママ」に収録され、コルトレーン生前の1967年1月に発売されました。
この曲のライブ演奏で聴けるものは、2009年にブートレグ発売された、この1966年7月2日のニューポートだけです。
さて前曲から切れ目なしでこの曲の演奏となり、、コルトレーンがテナーサックスで11分間に渡り、吹き続けるものです。心の豊かさを願うゆったりとしたテーマを演奏し、徐々にアドリブを交えていき、6分前からはファラオも加わり、そして8分半で再びテーマに戻っていきます。
激しさの前曲であっただけに、会場の観客は、より一層この演奏が心に染み込んだことでしょう。
【エピソード、中平穂積さん】
ジャズ写真家であり、ジャズ喫茶「DIG」や「DIG」のオーナーとして知られている中平穂積は、1966年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルを取材していた。そして7月2日のコルトレーンのステージでは、8mmカメラを回し、合わせて7分ほどの映像を撮っていた。
藤岡氏が中平氏から聞いた情報では、主催者の George Wein はコルトレーンの演奏を途中で終わらせたかったとのだが、コルトレーンは3つの曲を切れ目なく演奏し、決して止めることはなかったとのことだ。(以上は資料07)
主催者George Wein が要請した理由は資料07に記されていない。考えられる一つは、持ち時間オーヴァーである。ブートレグCDに収録されている演奏時間は56分である。これが全ての演奏時間としたら、特段長いとは思えない。ちなみに1963年にコルトレーンがニューポートに出演した際の演奏時間は、50分間であった。考えられるもう一つはその演奏内容だが、これはさすがに無いことであろう。
【ついでにフォト】
2009年 ペナン、マレーシア
(2023年3月20日掲載)