My Favorite Things
(R.Rodgers – O.Hammerstein)
(26分27秒)
【この曲、この演奏】
資料07の記録にある限りでは、この日には2曲演奏したことになっており、共にコルトレーン・ライブでの定番曲です。そして最初に演奏されたのは、この「マイ・フェイヴァリット・シングス」でした。
さて演奏ですが、まずは6分8秒のベース独奏からの開始となります。ピッチカートでのギャリソンの演奏ですが、会場からの音はなく、観客が聴き入っていることがうかがえます。なおライブ・アルバムではこの独奏を「Introduction To My Favorite Things」との曲名にしていますが、これはA面とB面に分かれての収録となるための便宜上の措置でしょう。
ギャリソンのベースがリズムを取り始め、グループでの演奏に入っていきます。ここでの20分間はソプラノのコルトレーン、テナーでのファラオの二人舞台であり、ピアノを含めてリズム陣によるソロ・スペースはありません。
コルトレーンとファラオによるそれぞれの長尺ソロ、そして二人の表現方法の違いとぶつかり合いを楽しみながら、演奏時間の長さを感じさせないところはさすがであります。
テーマがなかなか登場しないところも、この時期でのこの曲の演奏の形となっているところです。
【エピソード、このセッション】
インパルス!時代には幾つもの公式ライブ盤があるコルトレーンだが、ジャズ祭などではなくコルトレーンの単独ライブで、しかもインパルス!自体が録音に臨んだライブとしては、これが1961年11月以来の、5年ぶりの二度目となる。場所は同じヴィレッジ・ヴァンガードである。
1961年はドルフィー入りであったが、この1966年はこの年の1月末からの新バンドでのライブとなり、そこにパーカション担当が一人加わっている。
このライブはこの1966年の11月に、アルバム「ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」として発売された。そのジャケットに「Engineer ; Rudy Van Gelder」との記載があるので、5年前と同様にヴァン・ゲルダーの手による録音なのであろう。しかしながら、私が参考にしている各資料には、この1966年のヴァン・ゲルダーの発言が掲載されていない。ヴァン・ゲルダー自身が1961年と同様にヴィレッジ・ヴァンガードに機材を持ち込み、マイクなどのセッティングを行い録音を行なったのかには、少しの疑問を私は持っている。
なおヴィレッジ・ヴァンガードへの出演は5月20日から22日、そして27日から29日であり、夜の9時からの演奏であった。日曜日にはさらに昼興行があり、それは午後4時30分からだった。またこの年の6月にもコルトレーン・バンドは、ヴィレッジ・ヴァンガードに出演している。(資料07)
【ついでにフォト】
2010年 ペナン、マレーシア
(2021年9月17日掲載)