Compassion
(John Coltrane)
(6分46秒)
【この曲、この演奏】
9月2日の黄金カルテットでのセッションでも演奏されたこの曲、その際にはコルトレーンとマッコイの見事な感情表現が印象的でした。
1曲目の終わりでエルヴィンのドラムのリズムで場面転換となり、続いてこの曲演奏に入っていきます。ファラオのパッパラッパ、コルトレーンのスープを舐めるようなテナー・サックスで始まり、早々とテナーの二人はマイクから離れます。続くリズム人なのですが、マッコイの困った表情、早くも不適合状態なのかのドラムスのお二人の演奏となります。ここまでですと思惑が外れた演奏なのですが、これは作戦だったのかもしれません。徐々にリズム陣が快調な演奏になっていき、コルトレーンの自問のような演奏も入れながら、この組曲の前半が終わっていきます。
【エピソード、二人のドラマーの言葉】
くだらないものはやりたくないんだ。トレーンはなんだってあんなおかしなやつと俺を組ませたりするんだろう。それに一曲を何時間もやるなんて正気じゃない。俺はもう御免だ、こんなのは。なんといっても、くだらないことはやりたくないんだ。
エルヴィン・ジョーンズ
ぼくは別にドラム合戦をやりたかったわけではありません。トレーンと一緒に演奏したかっただけです。だからバンドに参加したのです。バンドのメンバーたち、特にエルヴィンは、ぼくのことをお高くとまっていると思っていた。ある意味でそれは正解だった。バンドに入ったからといって、ぼくは自分を変えることはできなかったし、彼らだって同じことだったからです。だが個人的なことを別にすれば、音楽的にはうまくやって行けたと思っています。ときどきエルヴィンとぼくは、気分転換のために分担を交代してみました。それまでぼくは、アンサンブルのパッセージをエルヴィンと一緒にやるだけだったし、エルヴィンは一人でトレーンやマッコイのバックもつけていたのです。ぼくは、お望みならどんな相手とだって演奏できます。しかし、演奏が終わったあとまで拘束されたくはありません。
ラシード・アリ
(資料01より)
2015年 みなとみらい
(2021年8月31日掲載)