The Father and the Sun and the Holy Ghost
(John Coltrane)
(12分53秒)
【この曲、この演奏】
聖霊との意味の Holy Ghost を曲名に入れたこの曲ですが、コルトレーンの演奏記録はジョンセッションだけです。
この組曲「メディテーション」の最初の黄金カルテットによるセッションでは、演奏されなかった曲です。
聴ける録音ではフェード・インで始まり、二人のテナーの叫びあいにいきなり突入します。その後にコルトレーンがテーマを吹き始め、その瞬間だけは希望に溢れている光景です。
二本のテナーの叫びあいと、それぞれのソロが交差して進んでいきますが、ドラムス二人の効果がテナーの二人に乗ってきています。
テナーの二人の怒号の中でコルトレーンがテーマを吹くのですが、そこには既に希望の光景はなく怨念の世界が放りがっていました。
エルヴィンがリズムを取り始めて場面転換となり、次の曲に進んでいきます。
【エピソード、本セッション】
このセッションには、三つの大きな特徴がある。
先ずはこの年の9月2日に黄金カルテットで行われたセッションを、ほぼ再演していることだ。9月2日に演奏された「Joy」は、西海岸での楽旅中に設けられた9月22日の黄金カルテットでのスタジオ録音で再演されていた。それがこの組曲「メディテーション」再演セッションで再演されなかったということは、「Joy」はこの組曲には相応しくないとの判断だったのであろう。代わりに演奏されたのは、「The Father and the Sun and the Holy Ghost」であった。
二つ目は、二人目のドラム奏者であるラシッド・アリが参加していることである。この年の9月の西海岸楽旅から、そしてスタジオ録音から、コルトレーンはバンドにメンバーを追加した。その中には打楽器奏者も含まれていたが、もう一つのドラムスを加えることはなかった。
資料03によれば、1965年末にマッコイ・タイナーが、1966年1月末にエルヴィン・ジョーンズが、コルトレーン・バンドを離れた。ここでの演奏がスタジオ・セッションという意味では、コルトレーン・バンドにおける二人の最後の姿である。
【ついでにフォト】
2015年 みなとみらい
(2021年8月30日掲載)