19651002-0608

A Love Supreme, Part4, Psalm
(John Coltrane)
(-06 6分31秒、-07 4分20秒、-08 7分21秒)



【この曲、この演奏】
 Part3の終わりから11分近くのベース独奏による「間奏」があり、パート4「賛美」へと続きます。このギャリソンの独奏の途中でテープ反転作業があり、途切れる箇所があります。そのためアルバムでのクレジットは、二つのトラックとして扱っています。

 さてパート4「賛美」ですが、コルトレーン入魂の演奏でテーマを吹き、それをエルヴィンとマッコイが支えていきます。そこにギャリソンがアルコを弾く場面では、この「カルテット」での演奏が、これからもずっと続いていくと感じてしまうものです。
 演奏自体は6分5秒で終わります。しかし終わり方の取り決めがなかったようで、録音自体は7分21秒まで続いています。

 私の感想としては、このシアトルのペントハウスや、その前のサン・フランシスコのジャズ・ワークショップでも、「至上の愛」は演奏しなかったと思います。前日にスタジオで「オム」を収録し、コルトレーンには掴んだものがあったのでしょう。そこでこのグループで、ライブで「至上の愛」となったのでしょう。打ち合わせの無さ過ぎなのでしょうか、まとまりの良い演奏とは言えないものですが、感じるものは多い演奏でした。




【エピソード、録音テープについて その2】
 アルバム「A Love Supreme, Live In Seattle」のブックレットに Kevin Reeves による「Engineer’s Note」との文章があるので、そこから引用する。

 AMPEX社デッキの4トラック形式は、4つのトラックのうち2つのトラック -1番目と3番目- に片方向で録音した後、テープを反転させて、トラック2と4に録音することで、1リールあたりの収録時間を倍にできた。これにより、音声情報は半分になってしまうのだが、今回の音源ではフィデリティや明瞭さが十分に保たれている。テープを反転するためごく短い中断が一度(承認の途中)あるだけで、演奏は全て録音されており、機会を操作した人間がこのセットアップを熟知していたことがわかる。

 この時代の4トラックテープを正確に再生するコツは、それにあったテープヘッド・スタックを見つけることにある。ナッシュビルにいた私は、当初これらのマスターに最適なリファレンス・トランスファーを見つけるのに大変苦労した。というのも、ヴィンテージのヘッド・スタックはニューヨークのスタジオにあったが、ロックダウンで建物への入館が制限されているからだ。スタッフの立ち入りが許されるようになり、4トラックのヘッド・スタックが送られてくると、忽ちこの音源が秘めるマジックの全貌が見えてきた。このテープは、これまで私たちが関わった、アマチュアによって録音されたジョン・コルトレーンの音源の中でも、最高と呼べるものの一つだ。お楽しみあれ!


 2019年に入ってから始めた「今日のコルトレーン」だが、世の中はその1年後からCOVID-19によるパンデミックに巻き込まれ、いまだにそれが続いている。その中で私がコルトレーン関係者から、コルトレーンに関する仕事を進める中でのCOVID-19の影響を聞いたのは、これが初めてである。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2006年 香港 維多利亞港 遊艇航行

(2021年11月11日掲載)