Nature Boy
(E.Ahbez)
(7分5秒)
【この曲、この演奏】
エデン・アーベッツなる方が作ったこの曲をコルトレーンは、1963年3月6日にインパルス!でのスタジオ録音で取り上げました。それは存在は知られていたものの、長らくお蔵入りとなっていましたが、2018年に「The Lost Album」として世に出ました。
そしてこの曲をコルトレーンは、アルバム「The John Coltrane Quartet Plays」で取り上げるために、二年ぶりのスタジオ演奏となりました。
アルバム「The John Coltrane Quartet Plays」用の三日間のセッションで、二日間に渡り演奏されました。初日のこのセッションでは、資料07にれば13回の録音記録があり、その中の4回は最後まで演奏されたようです。その中の一つ、この12回目のテイクが、1978年にIZ 9345-2 「Feelin’ Good」として世に出ました。
さて演奏ですが、2年前の演奏はこのメロディの持つ深遠な魅力を描こうとのものでしたが、この1965年の演奏は曲自体の背景浮かぶ幽遠な世界を描こうとの演奏です。そこには、ダブル・ベースにしたことも功を奏しています。そう考えて演奏時間が半分の2年前の演奏を再び振り返れば、そこでもギャリソンのベースが重要な役割を果たしていました。
2年前からのこの曲への構想がここで花開いたと感じますが、コルトレーンにはまだまだだったようで、その成就は翌日へ持ち越しとなりました。
【エピソード、本セッション】
前年末に「至上の愛」の制作を終えたコルトレーンは、年が明けてすぐにアルバム制作に取り掛かった。それはA(S)-85 「The John Coltrane Quartet Plays」である。このアルバム制作のために、この日とその翌日の2月18日、そして5月17日の三日間を当てた。
5月は黄金カルテットでの演奏だが、2月の2回はベースのアート・デイヴィスを加えてのクインテットでの演奏となった。このダブル・ベースは、12月10日に行われたシェップ入り「至上の愛」セッションで採用されている。つまり、スタジオ録音で続けてダブル・ベースを採用しているわけであり、コルトレーンはこれに手応えを感じていたのであろう。
この初日には三曲が演奏されたが、どのテイクもアルバム「The John Coltrane Quartet Plays」には収録されなかった。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2021年6月19日掲載)