Lonnie’s Lament
(John Coltrane)
(11分46秒)
【この曲、この演奏】
ロニーの嘆き、と題された曲です。ロニーとは誰なのか、各資料をみましたが記述はありませんでした。何かで読んだ、どこかで聞いた、そんなぼんやり記憶があるのですが、ネットで調べても答えはありませんでした。
前年の10月8日のバードランドでのライブが公式レコーディングとなり、この曲が演奏されましたがボツになったままです。その後に欧州でのライブで演奏された記録があり(資料07)、そしてアルバム「クレッセント」用にこの日のスタジオ録音となりました。
ごく短いテイク2つの後に、この演奏となっています。
人間の尊厳を見つめるような美しくも突き刺さるようなバラッド、このテーマをコルトレーンは最初の2分で見事に演奏しています。それに続き4分強のピアノ・トリオでの演奏、さらには3分超えのベースだけでの演奏となります。そこにはコルトレーンのテナーサックスはありませんが、コルトレーンの提示をメンバーが突き詰めていく姿があります。特にベース・ソロは、黄金カルテットでのギャリソンの、特筆すべき演奏と言えるでしょう。
後テーマで再び2分のコルトレーンとなります。コルトレーンにはソロ・スペースはありませんが、12分弱全体をコルトレーンの視線が突き刺しているかの演奏でした。
この演奏は名盤A(S)-66 「Crescent」に収録されこの年の七月に世に出ました。
【エピソード、インパルス!と再契約】
一九六四年四月、コルトレーンのインパルス・レコードとの契約が更新された。契約の骨子はそのまま残されたが、契約期間は前と同じ一年間で、優先更新期間も二年間と定められた。前払金はかなり増額となり、一年につき二万五千ドルとなった。
契約更新にともない、レコーディングの仕事も付随的に増加した。その結果、あまりにもたくさんのレコードが次から次へと発売されたので、コルトレーンの音楽鑑賞の専門家ですらも、その演奏スタイルの変化や音楽上の進歩について最新の情報を常時把握するのは大変な仕事だった。
(資料から)
【ついでにフォト】
2011年 ペナン、マレーシア
(2021年5月16日掲載)