Mr. P.C.
(John Coltrane)
(18分17秒)
【この曲、この演奏】
1961年の欧州ツアーでは演奏された記録がないこの曲ですが、1962年の欧州ツアーでは何度も演奏されました。そして1963年の欧州ツアーでも、初日のストックホルムで演奏されました。恐らくはこの曲が、この10月22日の最後の演奏曲でしょう。
さてこの日の演奏ですが、コルトレーンがソプラノ・サックスで、速いテンポでテーマを演奏します。そしてすぐにピアノ・ソロに移り、神がかりマッコイの5分弱の演奏となります。次にはエルヴィンが4分半強叩き続け、マッコイの神がかりを引き継いでいきます。この流れでコルトレーンがテナー・サックスで8分半ほど演奏していきます。全精力でぶっ飛ばしたらどこまで行けるのかを試しているかのコルトレーン、そしてエルヴィンを筆頭するリズム陣がそれに向かい打っていく演奏は、鳥肌ものです。途中でコルトレーンがマイク位置から離れているのが残念ですが、圧倒されるものとなっています。この流れでテーマが登場して、演奏は終わっていきます。
【エピソード、1963年のミシェル・デロームのインタヴュー記事 その5】
デローム
”コード”を追求し、”モード”を追求したのち、あなたはもっと先へ進みたいと言いました。今はどのあたりにいるんでしょうか?
コルトレーン
そうだな。これからは、曲の本質によって何をプレイするか決めたい。それが今の私が専念していることだ。作曲能力を開発して何かしら曲を書いたら、その曲の本質を踏まえて感じるままに演奏する。おそらくあらゆるタイプのプレイが求められるだろう。モーダルなプレイに、コード進行を意識したプレイ、あるいはただ単に範囲内で、音色の許す範囲内でプレイすることもあり得る。
「ジャズ・オット」誌、一九六三年一二月号(資料04より)
【ついでにフォト】
2014年 みなとみらい、横浜
(2022年11月18日掲載)