19621128-07

Impressions
(John Coltrane)
(22分25秒)



【この曲、この演奏】
 1962年の欧州ツアーにおいてテナー・サックスで怒涛の演奏を繰り広げてきたこの曲を、コルトレーンは11月28日のグラーツでも取り上げました。

 この日以前の演奏はコルトレーンの一人舞台で、8分前後の演奏でした。しかしこの日には、22分を超える演奏となりました。

 スピードを抑え気味にしたテナーでのテーマ演奏から入り、40秒したところでピアノ・ソロとなります。飛ばすマッコイのピアノ演奏は5分半ほどとなり、続いたのはギャリソンの6分を超える演奏でした。無伴奏で、ピッチカートで祈りのようなベース演奏は、観客も聴き入っていたのでしょう。ベース・ソロとなってから5分30秒ほどで大きな拍手がなり、シンバルが加わっていき、いよいよコルトレーンのテナー・サックスでの演奏となり、10分ほど吹きまくり、エンディングとなります。その10分間ですが、前半は感情を抑えながら必死に訴えるコルトレーンの姿があります。それが中盤からは泣き叫びのテナーとなっていきます。9分過ぎでテーマを演奏して、終わっていきます。

 コルトレーンのが大きな変化を仕掛けたこの日の「Impressions」は、聴きごたえあるものとなりました。




【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その33】
(回答の続き)
コルトレーン
 私が今、多彩な音楽を提示しているのは、できるだけ大勢の心に触れたいからなんだ。その中で、もっとも完璧に感情を伝えられる方法を探し当てる。それが叶えば、大勢に語りかけるチャンスが高まると同時に、常に自分であり続けながら、自分を磨いていけるはずなんだよ。人に嗜好は十人十色だ。私は人々に、人々が幸せなんだと感じられるような何かを届けたいんだ。その方法が知りたい。私が、雨よ降れ、と念じれば、雨が降り出す。病気になった友達が、私がある曲をプレイすることで元気になる。貧しい者にはまた別の曲をプレゼントすると、彼のもとに必要な金が舞い込んでくる。だが、こうした曲はまだ見つかっていない。どうすればそうした曲を知ることができるのか、私にはそれすらわからない。

1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04)

収録アルバム

【ついでにフォト】

2009年 みなとみらい、横浜

(2022年10月24日掲載)