19621128-06

I Want To Talk About You
(Billy Eckstine)
(12分5秒)



【この曲、この演奏】
 コルトレーンが愛したこのスタンダード曲が、11月28日のグラーツでも演奏されました。

 さて演奏ですが、11月22日のコペンハーゲンでは終盤に登場したテナー・サックスの無伴奏での演奏が、この日には冒頭で30秒強演奏されました。そのままテーマとなり、コルトレーンがメロディを大切に静かに心に迫ってくるテナー演奏を披露します。それが8分ほど続き、さてクロージングになるなと思わせてから、再び無伴奏でのテナー・サックス演奏が3分半ほど演奏されます。

 コルトレーンがバラード演奏に、新しい何かを見つけたのかなと思わせる、素敵な12分間でした。




【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その32】
(回答の続き)
コルトレーン
 私たちはただ、オーディエンスの心に触れたいだけだ。彼らと通じ合い、彼らにも私たちと同じように感じてもらいたい。私は自分の感じたものをプレイする。そうしたプレイを介して、オーディエンスに何かを伝えたいと思う。すっと立ち上がり、「君に伝えたいことがある」と言うのは簡単だ。そうしたことを言葉で伝えるのはたやすいが、その表現方法が音楽である場合にはとたんに難しくなる。それでも、ミュージシャンは孤立すべきではない。ミュージシャンは、その心の奥底にある感情をオーディエンスに伝えなくてはならない。ただ、そうは言っても、人々が何を望んでいるかなんて毎回わかるわけはないし、私としても、当てずっぽうで勘違いするのは怖いんだよ。結局のところ、その人が、その隣にいる人と同じことを望んでいるとは限らないからね。

1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04)

収録アルバム

【ついでにフォト】

2009年 みなとみらい、横浜

(2022年10月23日掲載)