19621128-05

Mr. P.C.
(John Coltrane)
(17分5秒)



【この曲、この演奏】
 1962年欧州ツアーの重要演奏曲であるこの曲が、11月28日のグラーツでも演奏されました。

 まず残念なことですが、これまでの4曲と比べて、この曲の録音状態は悪いものです。全体に薄っぺらい音質です。

 演奏はコルトレーンのテナーで短くテーマを奏で、すぐにピアノ・ソロになります。4分弱のその演奏は熱気あるものなのでしょう。演奏はテナーとドラムスの掛け合いとなり、今までならばドラムスのソロとなるところですが、この日はコルトレーンのソロとなりました。9分弱のそれは、怒涛の演奏だったのでしょう。再びテナーとドラムスの掛け合いとなり、ここでドラムスの3分弱のソロが登場します。その後に三度のテナーとドラムスの掛け合いとなって、テーマとなって、演奏は終わっていきます。




【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その31】
質問者
 とても重要な質問です。あなたにとってのプレイとは、ある種のハーモニー的、メロディ的、リズム的な問題を解決する試みの表明でしかないのでしょうか? それともオーディエンスからある種の反応を引き起こす方法、ある種の雰囲気を創り出す方法を探っているのでしょうか? 催眠効果についてすら言及した評論家がいましたが、これは一体、どういうことなんでしょう?

コルトレーン
 プレイを始めた瞬間、私たちは、音楽を創造するうえで切っても切り離せないいくつもの問題に直面する。そうした問題は様々な形をとって現れ、どのミュージシャンのとっても避けることができないんだ。だが、その一方で、私たちは一般大衆に向けてもプレイしている。私は、オーディエンスと通じ合うために努力するし、それはグループの他のメンバーも同じだと思う。別に催眠効果を誘発しているつもりはない。そういうことをしているとは一切思わないね。

1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04)

収録アルバム

【ついでにフォト】

2009年 みなとみらい、横浜

(2022年10月22日掲載)