19621120-04

Mr. P.C.
(John Coltrane)
(16分7秒)



【この曲、この演奏】
 1962年欧州ツアー定番曲の登場です。

 24秒演奏されるテーマを聴くと、この曲では録音状態が安定しています。

 最初のソロはマッコイのピアノで、3分半ほどの演奏です。このツアーでマッコイはこの曲で、自分に舞い降りたインスピレーションを表現する術を得たかのようです。続いてはテナーとドラムスで8小節交換を行ってからの、エルヴィンの2分強のソロとなります。これを聴いていますと、もしコルトレーンが叩いたならばこうなるのかと感じた演奏です。

 このマッコイからエルヴィンへとのソロにコルトレーンは大満足したのか、10分ほどのソロをテナーで展開します。このバンドでの進むべき方向性を確信した、精神統一のソロといえます。最後にドラムスとの4小節交換を挟んで、クロージングとなっていきます。




【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その18】
質問者
 ビッグバンドは自分に向いていると思いますか? 例えば「アフリカ/ブラス」のバンドはあなたの伴奏に専念していますが、それがあなたにとってのビッグバンドなのでしょうか? それとも、もっと古典的な編成のバンドのほうがしっくりときますか? つまり、ミュージシャンはあくまでもグループの一員であり、”伴奏付きのソロイスト”ではないようなバンドです。今のあなたには、ソロと伴奏のどちらを重要視いているんでしょうか?

コルトレーン
 今はもう、君が言うような”ソロイストのバンド”という表現形式を求めてはいない。その方面ではもう何度も実験を行った。そういうプレイは時に見返りも大きく、満足感もたっぷり得られるが、今はそれをやるつもりはない。

1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04)

収録アルバム

【ついでにフォト】

2007年 アムステルダム、オランダ

(2022年9月26日掲載)