Traneing In
(John Coltrane)
(16分46秒)
【この曲、この演奏】
1962年の欧州ツアーで何度も演奏されたこの曲を、コルトレーンは11月19日ストックホルム公演の後半の部の最終曲としました。
前半と同様にマッコイのピアノから始まり、軽快に6分以上弾き続けています。続くのはベース・ソロで5分弱のものです。前半の部のこの曲でのベース・ソロでは、トリオの魅力で迫ってくる演奏でしたが、この後半の部ではベースの魅力に焦点を合わせた演奏です。前半はアルコ、後半はピッチカートでのベースの音色は魅惑のもので、それを支えるエルヴィンの技もなかなかのものです。
演奏が始まって10分以上が過ぎたところでコルトレーンの登場となり、これまでの経過さを保ちながら6分ほどテナーを吹き、演奏は終わっていきます。
【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その15】
質問者
コンサートの演奏では、例えば四ビートやベースやドラムのソロなど、通常のジャズの様式を捨てようとする傾向が見られますが、これはどういうことなんでしょうか?
コルトレーン
いや、その意見は、今の私の音楽コンセプトには当てはまらないな。思い出してほしい。去年、私のグループにはもう一つのメロディ楽器があって、エリックと私がソロをとると、ベースとドラムが自己表現するための時間がほとんど残らなかった。ただ、今晩はまったく違うよ。このあと、オランピアのステージの上ですぐに証明してみせる。ジミーもエルヴィンもソロをとるからね。四ビートが特に嫌だということはない。今でもたまにプレイする。
1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04)
【ついでにフォト】
2007年 アムステルダム、オランダ
(2022年9月22日掲載)