Mr. P.C.
(John Coltrane)
(15分18秒)
【この曲、この演奏】
この1962年欧州ツアーの定番演奏曲となったこの曲が、11月19日ストックホルムの3曲目に演奏されました。
演奏の構成は2日目のパリ公演と同様です。コルトレーンがテナーでテーマを30秒弱演奏し、すぐにマッコイが3分強のソロ、そのソロの終盤でエルヴィンとの掛け合いにあり、そのままエルヴィンが3分ほどのソロ、その終盤でコルトレーンとの掛け合いにあり、そのままコルトレーンが8分強吹き続け演奏は終わっていくとのものです。
各メンバーの熱気、黄金カルテットとの名が相応しくなっていくの感じます。
【エピソード、J. クルーゼとM.デロームとのインタヴュー、その2】
(コルトレーンの回答の続き)
エリックもまた、月並みなインプロヴィゼーションから逃避するため、普段の努力を重ねてきた。私も似たようなことをやってきたが、まだ成功したとは思っていない。そうした試みにおいては、私よりも、オーネットやエリックのほうが明らかに成功していると感じる。私はむしろ彼らの後塵を拝しているな。私は彼らのような大ジャンプをしたことがない。相変わらず、コードを軸とした様式を用いているからね。マイルス・デイヴィスと一緒にやる中で、私は代理コードの重要性に気づいた。暗に示されるコードを感じるようになった。それでもコードはコードだ。私がそこまで先をいていると思えないのはそのためだ。
実際の話、エリックもオーネットも私も、それぞれ違う場所に立っている。あの二人は通常の表現の枠を飛び越して、独自のイディオムを手に入れた。彼らはその点で群を抜いているが、私の場合は、どうにか目的地に近づいているといったところだ。私がやってきたのは自分の奏法の改良だ。それは彼らも同じだが、同時に他のこともやっている。彼らは、自身の音楽構造を根底から変えてしまったんだ。ドルフィに至っては、ピアノをやめてから、自分のグループ編成すら考えている。
1962年11月17日のジャン・クルーゼとミシェル・デロームによるコルトレーンへのインタヴュー。ジャズの手帳誌、一九六三年第八号。(資料04からそのまま引用)
【ついでにフォト】
2007年 ブリュッセル、ベルギー
(2022年8月30日掲載)