Nancy (With The Laughing Face)
(Jimmy Van Heusen – Phil Silvers)
(3分11秒)
【この曲、この演奏】
この曲は1944年、当時2歳だったフランク・シナトラの娘ナンシーのために喜劇俳優のフィル・シルバーズが詩を書き、ジミー・ヒューゼンが作曲したプリティなバラードで、シナトラは1945年8月にレコーディングしました。シナトラの強いイメージがあるため、他の歌手による録音は非常に少ないが、インストルメンタリストたちはさかんに取り上げ、キャノンボールとビル・エヴァンスの名演などが残っています。(資料14、一部を省略し引用)
コルトレーンのこの曲の演奏記録は、スタジオでは本セッションだけとなるが、1954年12月31日にニュージャージーのバインランドでテッド・カーソンと演奏したとの情報があるようです。(資料07)
YouTubeでフランク・シナトラの歌唱を聴きましたが、さすがは大歌手だけあって、小細工なしにストレートな歌唱で、寝顔の娘の幸を願う気持ちを歌いきっています。この気持ちは娘さんへの素直なものだったのでしょう、ナンシーは順調に育っていき、1960年代半ばには歌手として、また女優として活躍し人気を博していました。
さてカルテットの演奏ですが、コルトレーンのテナーサックスがただただメロディを演奏していく内容です。そこにはシナトラに通じる娘への愛情が感じられ、コルトレーンの存在感の強さを実感する演奏内容でした。
【エピソード、本セッション】
コルトレーンの日本での一番人気作品A(S)-32「Ballads」のためのレコーディングである。この日は三曲を取り上げ、「Ballads」には「Nancy」と「What’s New」が収録された。この日のもう一曲「Up ‘Gainst The Wal」は、A(S)-42「Impressions」に収録された。
「Ballads」にはこの年の11月13日にもレコーディングが行われ、そこから5曲が収録となった。
さて「Ballads」には計8曲が収録されている。もう一曲は、1961年12月21日に行われたシングル盤用セッションから「It’s Easy To Remember」が収録された。
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2021年2月27日掲載)