19620619-03

Out of This World
(H.Arlen – J.Mercer)
(14分5秒



【この曲、この演奏】
 マーサー&アレンによるこの曲は、1945年の同名映画の主題歌として作られました。私はこの曲を、長らくコルトレーンのオリジナル曲だと思っていました。勿論、ケニー・バレルのプレスティッジでの演奏、そしてクリス・コナーやマーク・マーフィーの歌物でも親しんできた曲なのですが、コルトレーンの演奏はこの曲を別物に育て上げているからなのでしょう。

 さてこの曲のコルトレーンの演奏記録ですが、スタジオ録音では翌週に行われたA(S)-21 「Coltrane」用の最後に当たる5回目のセッションでも取り上げられています。しかし本テイクとなったのは、本セッションでの演奏でした。

 またライブでは、1960年7月の第二期黄金カルテットで取り上げられ、また1963年から1965年にかけて複数回の演奏記録が残っており、1965年9月30日のシアトルでの演奏は1971年にインパルス!から発売されました。また1963年8月のショウボートでのライブ演奏は、2006年にブートレグで発売されました。(資料07)

 さて演奏ですが、ベースとドラムから始まり、マッコイが絡み、コルトレーンの登場との展開は、すっかり絵になっております。コルトレーンの演奏は、6分半に及びます。テーマをひたすら吹き続け、しかし同じ演奏にはならず、魂の追求のように感じるものです。後半になるとアドリブへとなったと感じる瞬間がいくつもありますが、またテーマが聴こえてくるとの内容です。続くマッコイの2分半の演奏は、コルトレーンの意識を継承し、ひたすらイマジネーションを求めているものです。さらにここから再びコルトレーンの演奏となります。前半でのそれを踏襲しながらも、よりアグレッシブなものになっています。そしてここでのエルヴィンの演奏は、誠に素晴らしく光っています。




【エピソード、このセッション】
 A(S)-21 「Coltrane」のための、第3回目のセッションである。メンバーは黄金カルテット、そしてコルトレーンは、テナー・サックスだけの演奏だ。曲数としては4曲が演奏され、その中から2曲A(S)-21 「Coltrane」に収録された。「Out of This World」と「Soul Eyes」である。

 このセッションの記録にも、カーンフェルドの調査結果が生きているが、「Soul Eyes」が何テイクの収録となったかについては、情報がないとのことである。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2005年 香港

(2021年2月19日掲載、改訂2022年11月24日)