My Favorite Things
(R.Rodgers – O.Hammerstein)
(20分57秒)
【この曲、この演奏】
この11月22日のヘルシンキの夜も、最後の演奏はこの曲でした。この日もドルフィーはこの曲にフルートで参加しています。
リズム陣の26秒の演奏の後に、コルトレーンが2分半強の演奏を行っていきます。テーマ中心が中心ですが、小鳥が舞い囀る野原に妖しい空気が流れるかの光景が目に浮かぶ演奏です。続くマッコイのソロは5分半強のもので、コルトレーンが作った世界の妖しさを深めていくかのものです。
続いてドルフィーのフルートでのソロが、6分強に渡り繰り広げられます。コルトレーンが作った光景の、小鳥の囀りはそのままに、しかし色合いを変えていくかの演奏です。
ドルフィーがソロの中で演奏した3度目のテーマに、コルトレーンのソプラノが加わり、コルトレーンの6分ほどの演奏となっていきます。それはここまで15分ほどの演奏で作った光景に、人の存在を加えていくかのものです。そのままコルトレーンがクロージングまで演奏を続けています。
【エピソード、ダウンビート誌での批評 1962年4月 その1】
コルトレーン・グループのメンバーであるドルフィは、そのプレイの”斬新”さでつとに知られる男だ。
二年前にアメリカのジャズ・シーンに登場して以来、ドルフィのプレイには常に賛否両論がつきまとった。去年の夏、ドルフィは、ツアーを控えたコルトレーンのグループに加わった。コルトレーンとドルフィが「ダウンビート」誌の副編集長、ジョン・タイナンの集中砲火を浴びたのもこのツアーの最中だった。タイナンはコルトレーンとドルフィーの演奏に対して、断固たる対決姿勢を(しかも公然と)表明した最初の批評家だった。
ダウンビート誌、一九六二年四月十二日号、20~30ページより (資料04)
【ついでにフォト】
2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア
(2022年8月17日掲載)