My Favorite Things
(R.Rodgers – O.Hammerstein)
(FS+ann 57秒、本編 28分3秒、計29分)
【この曲、この演奏】
1961年欧州ツアー、11月20日コペンハーゲン公演の最後の演奏曲は、やはりこの曲でした。11月18日のパリ公演では、前半の部はドルフィー抜きで、後半の部ではドルフィーはフルートで演奏していました。この11月20日は、フルートでドルフィーは演奏しています。
3回のフォルススタートとアナウンスの後に、28分3秒の演奏が始まります。最初のテーマからアドリブ・パートとなるソプラノのコルトレーンですが、手探り状態の演奏といったところです。続くのはマッコイの6分23秒のソロですが、これは無難な演奏といったところでしょう。
その後が、フルートでのドルフィーの7分6秒の演奏です。これは本当に流麗なもので、このバンドでのこの曲での自分の立ち位置をしっかり掴んだかの演奏で、本来のドルフィーの持ち味が満載となったものです。
この7分6秒のドルフィーの中で何度かテーマが登場しますが、その最後を演奏しているときに、コルトレーンにバトンタッチとなります。コルトレーンはソプラノで10分6秒吹き続けますが、生き返ったコルトレーンがそこにいます。その後にコルトレーンが主のテーマとなって、演奏は終わっていきます。
ドルフィーの素晴らしい演奏、そしてそれで蘇ったコルトレーン、ライブばらではの楽しさが詰まった演奏です。
【エピソード、ドルフィーについて語る、11月18日 その2】
(コルトレーン・バンドに準備不足のままドルフィーを迎えたことに)こういうことになってしまって心苦しい。ただ、ヨーロッパ・ツアーを前にして、じっくり検討している時間はなかった。それに五人目のメンバーを入れれば、多様性が広がるだろうと思ったんだ。つい最近、このクインテットでインパルスにアルバムを吹き込んだが、そこではコンサートよりも激しいプレイが聴けるはずだ。
一九六一年十一月十八日、フランソワ・ポスティフによるインタヴュー (資料04)
この中での「アルバムを吹き込んだ」とは、ヴィレッジ・ヴァンガードでの演奏なのであろうか。とすると、「コンサートよりも激しいプレイが聴ける」との発言の解釈が難しくなる。
いずれにしても、ドルフィーを加えての演奏に対して、コルトレーンの悩みがあったようだ。
【ついでにフォト】
2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア
(2022年8月13日掲載)