My Favorite Things
(R.Rodgers – O.Hammerstein)
(25分11秒)
【この曲、この演奏】
前半の部でも最後に演奏したこの曲ですが、後半の部でも最後の演奏曲となりました。前半の部ではドルフィーはお休みでしたが、この後半の部ではフルートで参加しています。
さて演奏ですが、前半の部と比べると迷いがある、ウダウダした演奏になっています。
テーマの最初の方でフルートが鳴っていますが、コルトレーンのソプラノ・サックス主体で演奏が進んでいきます。ただしコルトレーンの演奏には、方向性が定まっていない感があります。
演奏が始まってから3分ほどで、マッコイの4分25秒のソロへと続きます。そのピアノ演奏は、前半の部よりも華麗さを失ったものです。
そして、ドルフィーがフルートで6分19秒のソロを展開します。それはドルフィーの大いなる迷いに覆われた演奏です。途中で2度テーマを演奏しますが、それは迷いから抜け出すためにもがいているように感じます。2度目のテーマの後にはヤケクソかと思うような演奏になりますが、その瞬間だけがこの6分19秒の演奏の中で刺激的なものとなっています。
そしてコルトレーンがソプラノ・サックスでエンデイングまで11分33秒の演奏を行います。最初こそ力強さ漂う演奏ですが、全体としては迷いの中での演奏です。4分過ぎからの攻撃的な場面があり、ここから巻き直しかと思いきや、再び迷いの世界となり、テーマとなり演奏は終わっていきます。
これはこれで貴重な演奏です。これがライブであり、ブートレグを求める理由でもあります。長丁場のツアーの中で、しかも大会場での演奏が続く中で、演奏の内容に波があるのは自然なことでしょう。このコルトレーンのライブ定番曲で、パリの夜で前半と後半でこのような演奏になったことを聴くことができた嬉しさは、私は忘れられません。
【エピソード、パリでの会場について】
22日間31公演の1961年欧州ツアーですが、フランスでの演奏は11月18日の1日だけの2回公演であった。その会場はオリンピアである。
フランス語発音ではオランピアとのカタカナ表記となるこのホールは、着席だと1985人、最大で2824人を収容できる会場である。現在の建物は1997年に取り壊され再建されたものであるが、会場内は当初からのものが維持されている。
オランピアはムーラン・ルージュの共同経営者の一人が1893年に開いたホールで、多くのオペラ、バレエ、音楽の公演が行われていた。1920年大後半には映画館として運営されていたが、1954年にブルーノ・キャトクリスが音楽会場として復活させた。1960年代にはロックバンドの人気会場となった。(Wikipediaより引用)
【ついでにフォト】
2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア
(2022年7月29日掲載)