Africa
(John Coltrane)
(16分9秒)
【この曲、この演奏】
初日に何度も録音を重ねたこの曲ですが、コルトレーンには満足できず、この日に再び取り組むことになりました。計6テイク、その中で完走できたには2テイク、その最初のテイクがこの演奏です。この演奏は、1974年7月にインパルス!からAS-9273(The Africa Brass Sessions, Vol.2)として、世に出ました。
さて演奏ですが、初日には13人だったホーン陣が、この二日目には10人となっています。そのアレンジは、引き続きドルフィーの手によるものです。そのホーン陣が筋肉質な演奏となり、演奏に刺激を与えています。そうなるとコルトレーンのテナー・サックスにはうねりが加わり、この曲の独創性を明確にしていきます。またエルヴィンの暴れっぷりも気持ちよく、なかなかの出来です。
初日と比べてとなると、これには好みもありますが、初日の良さも十分に理解しながらも、やはり二日目のこの演奏が素敵なものに聴こえます。
なおこの曲で、犬の遠吠え、或いは叫びのようなものが効果的に使われていますが、どの資料をみてもその中身は分かりませんでした。
【エピソード、本セッション】
二日間のアフリカ/ブラス・セッションの二日目が、この6月7日に行われた。初日の5月23日と同様に、コルトレーンにとって古巣のヴァゲル・スタジオでの録音である。初日は演奏者としては18人が参加していたが、この二日目は15人となった。
ホーン陣では、Freddie Hubbard(tp), Julian Priester(euphonium), Charles “Majeed” Greenlee(euphonium), Jimmy Buffington(frh), Garvin Bushell(reeds, woodwins) の5名がこの日は参加せず、Britt Woodman(tb) と Carl Bowman(euphonium) の2名が加わった。
またベース奏者では、初日には「アフリカ」だけに参加していたポール・チェンバースがこの二日目には参加せず、アート・デイヴィスが加わった。
このアフリカ/ブラスの二日間セッションの間には、アトランティックの最後の録音セッションが、5月25日にあった。そこにはベース奏者のアート・デイヴィスが参加しており、それに引き続いてこの日にも加わっている。
この日には合計6テイクの収録となり、フォルス・スタートやブレイク・ダウンの3テイクを除いて、つまり完走できた3テイク全てが、MCA時代ではなくインパルス!時代に発売された。
【ついでにフォト】
2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア
(2020年12月29日掲載)