Body And Soul
(Johnny Green, Robert Sour, Edward Heyman & Frank Eyton)
(5分37秒)
【この曲、この演奏】
名曲「ボディ・アンド・ソウル」のコルトレーンの演奏記録は、公式発売では2回あります。最初は本セッションであり、アトランティックでのスタジオ録音です。本テイクが1419(Coltrane’s Sound)として1964年6月に発売されました。そして別テイクは1668(Alternate Takes)として1975年1月に発売されました。
次の録音はインパルスでのライブ録音であり、1965年9月30日のものです。ただし9202-2(Live In Seattle)として1971年に発売された時には「ボディ・アンド・ソウル」は収録されず、後年のCD化の際に追加収録されました。また1962年6月2日のバードランドでの演奏が、ブートレグで発売されています。
さて資料07には、この曲の演奏記録が他に10回ほど掲載されています。いくつかの音源はブートレグで聴くことができます。簡単に紹介すると、1947年5月のKing Kolax Bog Bandでのライブでコルトレーンはクラリネットで演奏、1952年1月6日にはボルチモアのホテルでのライブ、1960年6月には第二期カルテットでNYのジャズ・ギャラリーでのライブ、1060年7月に第二期カルテットでフィラデルフィアのショウボートでのライブ、1961年6月に第五期カルテットでワシントンのAlbert’s Internationaleでのライブ、1961年7月に第五期でヴィレッジゲイトでのライブ、1962年6月に黄金カルテットでバードランドでのライブでの演奏といった具合です。さらにはスタジオ録音の記録もあり、1962年4月12日に黄金カルテットでヴァンゲル・スタジオで演奏しています。
さて演奏ですが、「ジャズ・スタンダード中でもっとも美しいと言われるバラード・ナンバー」(資料14)のテーマを無骨に表現して演奏するコルトレーンですが、演奏が進むうちに、コルトレーンとマッコイのソロは、この曲が持つ美しさを彼らなりの表現で聴かせています。
ここでの演奏は1964年6月に、1419(Coltrane’s Sound)で世に出ました。
【エピソード、ボビー・ジャスパーのエルヴィン評】
資料03には、1957年にエルヴィンと共演したテナー・サックス奏者のボビー・ジャスパーが、ジャズ・レビュー誌に寄せたコメントが掲載されている。
エルヴィンの複雑で刺激的なプレイはいつも新鮮だった。間違いなく彼のドラミングにはベーシックなテンポがあった。それは演奏しているとき、常に一定不変であった。ただし時おりまったく消えうせてしまうこともあった。
しかしアップ・テンポのとき、意図的かテクニック不足のためかは分からないが、エルヴィンはあまりに激しすぎるリズムのクライマックスをつくり出してしまうことがあり、そのためベースの音がかき消される。そのような観点からすれば、このスタイルのドラマーとしてはフィリー・ジョーのほうがすぐれていると思う。エルヴィンのドラムスをバックに、アップ・テンポで、ステージから転げ落ちずに自由にインプロヴァイズできるソロイストは、ニューヨークにほとんどいないであろう。
最後の箇所は笑いを誘うためのコメントのようだが、エルヴィンとの共演の難しさを指摘している。
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2020年9月2日掲載)