On Green Dolphin Street
(N. Washington – D. Fields)
(13分28秒)
【この曲、この演奏】
エヴァンスが参加しての1958年5月26日のスタジオ・セッションで録音されたこの曲は、1960年春のマイルス欧州ツアーで演奏されていました。
演奏は重く響くケリーのピアノで始まり、30秒からはマイルスのミュート・トラペットが絡み、48秒からリズミカルになり、56秒から本格的にマイルスのミュート・トランペットでテーマが演奏されていきます。この展開に至極の幸福感を得ます。
そして3分がすぎたところで、コルトレーンの4分超えのソロとなります。前半には迷いを感じる演奏ですが、後半から調子を掴み、最後は大きな拍手で包まれた熱演となっています。
その後には、トリオの切れ味の良さでのケリーのソロ、そしてチャンバースのアルコでのソロと続き、再びマイルスのミュート・トランペットが登場してのテーマとなり、演奏は終わっていきます。
この曲とマイルスのミュート・トランペットの相性良さを味わいながら、ライブならではの醍醐味を感じた演奏でした。
【エピソード、ブノワ・ケルサンによるインタビュー その2】
ケルサン
どういった意味での”拡張”でしょうか?
コルトレーン
リズム面、メロディ面、そしてハーモニー面でも。
ケルサン
結局のところ、あなたは一般的なハーモニーの枠組みとか、そういったものから脱却しようとしているんでしょうか? まあ、それがあなたの出発点なわけですが。
コルトレーン
そう。そういったものから抜け出そうとした。というのも、私が取り組んできたことは・・・私はハーモニーと向き合い、ハーモニーの構造を隅から隅まで知り尽くそうとした。それが私の・・・私の音楽の強みだからね。つまり、私の身につけたことはリズムやメロディに対してよりも、その手のやり方に向いていたんだよ。同時に、それが私の音楽的幅広さになった。私はこれまでの作品の中で、自分のプレイに誰もやったことがないようなハーモニー的なプラス・アルファを盛り込もうとした。それをやり始めたのが一九五七年だ。思うに、今、世に出ているミュージシャンのほぼ全員が、音楽の領域を広げるためにいろいろなことをやっている。さっきも言うったが、音楽は今、別の方向へ向かっている。リズムやメロディ的な方向、もちろんハーモニー的な方向へ向かっているのもある。 (資料04より、時期は1961年の夏か秋だろうとのこと)
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2023年5月29日掲載)