My Shining Hour
(Johnny Mercer / Harold Arlen)
(4分53秒)
【この曲、この演奏】
マーサー&アーレンという強力コンビによる曲で、1943年の映画「ザ・スカイズ・ザ・リミット」でフレッド・ステアが歌ったのがオリジナルで、その後にはビリー・ホリデイやシナトラ、そしてローズマリー・クルーニーなど多くの歌手に取り上げられた曲です。(資料14)
インスト物となると、このセッションでの演奏が代表的演奏となるようですが、コルトレーンの演奏記録は本セッションだけです。
さて演奏ですが、このバンドの調子の良さを物語っているかのような快調な味わいのものです。コルトレーンにとってこの時期には恩人へのお付き合いもあり、自分の目指す方向とは違う演奏の機会もあったのでしょうけど、ここでの演奏で自分のバンドでの一体感を確認し、そしてその先を見つめているようです。
【エピソード、1959年の新居での生活】
(1959年末に引っ越した家に)コルトレーンがシカゴの仕事から帰ると、家の中には、シンプルだが、現代的な家具がちゃんと収まっていた。新しいピアノや、スイート・ポテト・パイのはいった食器棚もあった。彼はパイの誘惑に勝てず、体重が増えることなどお構いなしにパイをぱくついた。その後、マッコイ・タイナーとジータ・カーノとコルトレーンが顔を合わせると、つい二、三ブロック先にあるピザ・ショップから一個二ドル25セントのオニオン・ピザを買って来てみんなで食べるのが習慣となっていた。そのうち、コルトレーンは自分の甘党の味覚を制限するための試みとして、バター・ラム・ライフ・セイヴァーズをひまさえあれば口の中に放り込むのが癖となった。(資料01)
ちなみにライフ・セイヴァーズとはウィキペディアによれば、「リング型のハードキャンディーとソフトキャンディーのアメリカブランド」(ウィキペディア)で、「アメリカではレストランや食料品店のレジ横に置いてある」とのことだ。日本人には馴染みはないが、アメリカ映画で何度も目にしてきたものなのだろう。
バター・ラムのライフ・セイヴァーズの情報はネットから得られなかったが、バター・ラム味はあちらでは定番のようだ。
さてそんな「バター・ラム・ライフ・セイヴァーズ」が「甘党の味覚を制限」に結びつくかだが、これは謎のままとなった。
【ついでにフォト】
2006年 香港
(2020年8月2日掲載)