Naima (Take 3, Alternate Version)
(John Coltrane)
(4分30秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンの重要曲「ネイマ」の演奏記録は、資料07によれば44回あります。その中でスタジオ録音となると、アトランティック時代の3回となります。最初のは本セッション、2度目は1959年5月5日のセッション、そして3回目はアルバム「コルトレーン・ジャズ」に収録されて1961年2月に世に出た1959年12月2日のセッションです。
この中で私は2度目のスタジオ収録とされているものには、疑問に思っています。「ジャイアント・ステップス」を始めに5曲が演奏され、資料07には合計9テイクが演奏されたのですが、8テイクは何らかの形で世に出ておりますが、「ネイマ」だけは1976年の火災で焼失したとなっているからです。ただし藤岡氏をはじめとするコルトレーン研究家たちの見解ですので、私のような単なるコルトレーン好きがどうのこうの言うことではないのでしょう。
先ほど44回の演奏記録と申しましたが、一つを除いては全て、この1959年3月のセッション以降の演奏です。そうではない1回とは資料07では、1958年8月から10月に行われたニューアークでのライブで、これにはウェイン・ショーターやリー・モーガンが参加しており、「ジャイアント・ステップス」も演奏されたとのことです。この情報は藤岡氏が1990年12月21日に、大阪ブルーノートでウェイン・ショーターから聞いたものとのことです。
これが本当ならば、「ネイマ」と「ジャイアント・ステップス」というコルトレーン作の重要曲であり、新天地アトランティックでのレコーディングまで温めていた曲が、その半年前にライブで演奏されていたことになります。もしこの録音が世に出たならば、仮に雑音の中に微かにきこえる演奏であろうとも、世のジャズファンを驚嘆させることでしょう。
さて演奏ですが、メロディを大切にしながらそれを発展させて行くコルトレーンのソロには聴き入るものがあります。ただしこのセッションで、この曲の3つのテイクが演奏を終えているのですが、このテイク3をOKテイク(アルバムAlternate Takesへの収録)とする判断基準がどこにあるかは私には掴みきれませんでした。しかしその判断をしたのはコルトレーンではなく、アトランティック側なので、考え込む必要はないのでしょう。
「ジャイアント・ステップス」に続き、ウォルトンにピアノ・ソロのスペースが与えられていないことからも、コルトレーンが満足していないことが伺えます。
【エピソード、The Heavyweight Champion john coltrane】
その死後においても数多くの発掘音源が世に出るミュージシャンが何人かいるが、その筆頭格の一人はコルトレーンである。今までにそんな発掘音源に多くのコルトレーン好きが驚きの中で飛びついており、私もそんな一人である。
コルトレーンのアトランティック時代の演奏を、その演奏順に収録したCD箱が、1995年に世に出た(ただし少なくとも日本に入って来たのは1996年であろう)。アトランティックから発売された8枚+2枚の作品に収められた曲が、その演奏順に聴けることは実に嬉しかった。
私が購入した1996年、値段は一万円を超えていた。そして「Disc Seven」だけが、スコッチ・テープの箱を模したケースに収録されていた。
今は五千円を切る値段で、「The Heavyweight Champion john coltrane」が購入できるようである。それにはスコッチ・テープ箱仕様になっているかは分からないが、購入する価値は十分にあるものだ。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2020年4月27日掲載)