19590115-01

Stairway To The Stars
(Matt Malneck, Frank Signorelli & Mitchell Parish)
(3分32秒)



【この曲、この演奏】
 アトランティックのコルトレーン、最初の曲はポール・ホワイトマン楽団で有名になった曲で、もともとは「パーク・アベニュー・ファンタジー」との曲名で1935年にインスト曲として世に出たものです。それに詩がついた1939年には、エラ・フィッツジェラルドがレコーディングした曲です。(資料14)

 この曲が邦題で扱われる時には、「星へのきざはし」となります。階段ではなくきざはし、同じ意味ですが、こちらの方が物語が広がるような気がします。

 資料06によればコルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。ミルト・ジャクソンはこの曲を、1961年にウェス・モンゴメリーとの共演盤で取り上げています。

 優しい気持ちになるメロディを、ミルトもコルトレーンも大切にしながら演奏しています。しかしその色合いは、異なったものです。コルトレーン登場までのミルトを中心とした演奏は、この手の曲の演奏の王道といったものです。その後に登場するコルトレーンの演奏は、曲の持ち味を大切にしていますが、強い気持ちをぶつけているような演奏です。この曲だけだと、ミルトとコルトレーンの共演が成功したとは、またコルトレーンの初セッションが良いものになったとは、なかなか言いがいたいものを感じます。

 この演奏は「bags & trane」には収録されずに、1970年発売の未発表曲集「The Coltrane Legacy」に収録されました。




【エピソード、本セッション】
 コルトレーンのアトランティックとの契約は1959年4月からだが、最初のレコーディングは1月に行われた。アトランティックが用意したのは、ミルト・ジャクソンとの双頭セッションであった。

 MJQは1956年からアトランティックの看板となっており、またミルト・ジャクソンの個人活動も1956年から1961年頃まではアトランティック・レーベルで行っていた。MJQでの色合いとは違い、ソロ活動でのミルト・ジャクソンはブルージーで明るい演奏が持ち味であり、また様々なミュージシャンとの共演を行っている。アトランティックのカタログを眺めるだけでも、レイ・チャールズ、コールマン・ホーキンス、そしてクインシー・ジョーンズとの共演作を残している。

 このミルト・ジャクソンの共演を最初のセッションに選んだのは、アトランティックの共同オーナーであり、本セッションのSupervisionとしてクレジットされているネスヒ・アーディガンであろう。間口が広いミルト、そしてブルース&バラッドを得意露するミルトにコルトレーンとの共通性を見て、最初のセッションはコルトレーンに肩肘貼らずに演奏させようとしたのだと思う。
私の感想としては、セッションの意図としては正解であったのかと思う。

 本セッションでは8曲が収録され、その中から6曲をアルバム「bags & trane」として発売した。それは録音から2年を経過した1961年のことであった。

初収録アルバム(リンク無し)
CD化で追加収録

【ついでにフォト】

2004年 香港

(2020年3月7日掲載)