Do I Love You Because You Are Beautiful ?
(Rodgers – Hammerstein)
(5分12秒)
【この曲、この演奏】
「マイ・フェイヴァリット・シングス」と同じ作者によるバラッドですが、資料14には記載されてなく、恐らくはガーランドの“メモ帳”からの曲でしょう。
抒情的な曲に、コルトレーンは艶冶で神秘な雰囲気を加えて演奏しており、聴き入る音色と共に酔える演奏をしています。ガーランドのシングルトーンは、抒情的な曲に憂いを加えており、これもさすが。ハバードは切れ味の良さで演奏しています。三者三様の演奏ながら一体感があり、このあまり取り上げられない曲を楽しんでいるようです。
【エピソード、本セッション】
コルトレーンのプレスティッジにおける最後のセッションである。コルトレーンは、1955年のマイルス・バンドへの参加によるマラソン・セッションから始まり、1957年4月からのプレスティッジとの2年契約以降もあり、コルトレーンの実質的なプロ活動開始の3年間の30回近くのセッションをプレスティッジで行なってきた。
このセッションも前回(1958年7月11日)のセッションと同様に、プレスティッジとの契約をこなすためのセッションと言え、本セッションでは6曲演奏され、後年に3枚のアルバムに分散されて世に出た。
さてメンバーであるが、リズム陣にはコルトレーンのプレスティッジ期の盟友といえる、ガーランド・チェンバース・テイラーの3人が参加している。また3曲にはトランペット奏者の、フレディ・ハバードが参加している。
資料06によれば、コルトレーンとハバードの共演記録は5回となっている。
最初が本セッションであり、2度目は1959年にバードランドにおけるコルトレーンのライブである。3度目は1961年5月23日の「アフリカ・ブラス」のレコーディング、4度目はその二日後の5月25日の「オレ」のレコーディング、そして最後は1965年6月28日の「アセッション」のレコーディングである。
この共演歴をみるとハバードは、プレスティッジ、アトランティック、そしてインパルスのコルトレーンのリーダー作品で共演したことになる。この意味で言えば、コルトレーンが契約した3レーベル全てのリーダー作で共演したのは、ハバードだけかもしれない。(後で調べます)
話を本セッションの共演者に戻すと、一部の曲においてドラム奏者はジミー・コブとの記述が資料09にある。本セッションを含む最後の3セッションにおいて、ジミー・コブとアート・テイラーの記載違いが幾つかの資料にみられる。ここでは資料06を正と考えて掲載している。
いつもの金曜日のヴァンゲル・スタジオでコルトレーンは6曲をレコーディングした後、再びプレスティッジで演奏することはなかった。
【ついでにフォト】
2010年 ペナン、タイプーサム
(2020年3月1日掲載)