19580711-06

Stardust
(Carmichael – Parrish)
(10分42秒)



【この曲、この演奏】
 ホギー・カーマイケル1927年に書き、2年後にミッチェル・パリッシュの歌詞がついた名曲で、1931年にビクター・ヤング編曲によるアイシャム・ジョーンズのブラウンズウィック盤で注目され、ついでビング・グロスビー、さらにアーティ・ショウが大ヒットさせた曲です。またナット・キング・コールのものが、歌物の決定版です。(資料14)

 コルトレーンの演奏記録は、本セッションだけです。

 コルトレーンのサックスから演奏は始まり、そのままコルトレーンがテーマを吹きます。その演奏は何か迷っているような、何かもっと精神的な奥深さを求めて彷徨っているかのような演奏です。続くハーデンのソロは、やればできるじゃないのとの、ほんのりした余韻に浸れるものです。またガーランドのソロも、期待感を膨らませてそれに応えていく演奏で良いものです。
 
 満足できる演奏といえばその通りですが、このトップクラスの有名スタンダードをコルトレーンが演奏したのは本セッションだけなので、コルトレーンの輝き場所が欲しかったです。




【エピソード、A.ブルームのインタヴュー、1958/6/15、その13】
(JC=ジョン・コルトレーン、AB=オーガスト・ブルーム)(資料04)

(モンクでのファイヴ・スポットでの演奏、モンク休憩中の演奏、いろんな方向に変化していくが、最後はみんな一緒に着地する)

AB でないと、観てるほうも困る!(笑)

JC ああ、最後にはぴったりと合った、ただ、あの手の演奏というのはものすごく楽しいんだよ。

AB そうだろうね。

JC ものすごく楽しい。というのも、彼(ウェア)はたまに、コード進行をいじってプレイした。だから私もそれについていく。で、私のプレイを受けて、彼がさらにコード進行をいじる。そうなると、二人とも本来のコード進行はプレイしていないんだが、ある時点で一緒に戻るんだ。幸運にも(笑)。そこへモンクが戻ってきて、一同、ほっと胸をなで下ろすのさ。一体彼がどこへ行っていたのか、誰にも分からないんだ!(笑)いずれにせよ、そういったことに大勢が感心した。よく言われたよ、「まったく、あんな曲、よく覚えられるね」って。実際には、すべてを覚えていたわけじゃない。基本的なコード進行を覚えていただけだ。あとは個人がそれを基に試したいことをやっていただけ。モンクについて言えば、彼がステージで紡ぎ出す音はいつも“謎めいている」。ただ、彼の曲を知っている者にとってはちっとも謎ではないんだ。毎度のことだから。それが真相だよ。例えば彼がコードを・・・メジャー・コード、彼に言わせれば“マイナー・コード”を弾く時は、三度音(訳注=メジャーとマイナーの響きの差は、三度音の違いによって決まる)を省いてしまうんだ。で、彼は「これはマイナー・コードだ」と言う。コードの中に単三度音がなければ、マイナーだかメジャーだか判断がつかない。で、モンクに訊く。「なんでそれがマイナーだって分かるんだ?」。「そういうものだからだ。三度音のないマイナー・コードなんだよ」(両者笑う)。ところが彼がそのコードをプレイすると、驚いたことに、すべてがしっくりくる。しっかりとマイナー感を感じられる響きになるんだ。もちろん、三度音がないからマイナー・コードではない。終始そんな調子だった。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2009年 ペナン

(2020年2月27日掲載)